倉橋部氏

倉橋部氏について

倉橋部氏（くらはしべし）は、古代日本の伴造氏族の一つであり、倉椅部氏、椋橋部氏、椋椅部氏などとも称されます。この氏族は、聖徳太子の叔父にあたる崇峻天皇の皇居があった倉梯柴垣にちなんでおり、同天皇の領地管理などに従事した名代部である倉橋部に起源を持つと考えられています。

氏族の概要

『新撰姓氏録』には、摂津国の未定雑姓として椋椅部連氏（物部氏と同族）、和泉国の未定雑姓として椋椅部首氏（皇別氏族とする説がある）が記されています。また、姓を持たない「くらはしべ」は、日本各地に分布していたことがわかっています。

有姓の人物としては、『続日本後紀』に倉橋部直氏嗣の名が見え、美濃国には倉橋部造氏の名が残っています。具体的には、「法華経玄賛巻第三奥書」に天平3年5月23日付けで「倉橋部造麻呂書写法華経玄賛願文」と記されています。

無姓の人物としては、『万葉集』巻20に武蔵国の椋椅部の者が登場し、『続日本後紀』にも椋橋部の者の記録があります。また、『続日本紀』には信濃国に倉橋部広人がいたこと、越前国には椋橋部が存在したことが記されています。さらに、丹後国にも椋橋部の者がおり、加佐郡には椋橋郷という地名も残っています。

各地の倉橋部

摂津国: 椋椅部連氏（物部氏と同族）
和泉国: 椋椅部首氏（皇別氏族とする説がある）
武蔵国: 『万葉集』に椋椅部の者が登場
信濃国: 倉橋部広人の存在
越前国: 椋橋部の存在
丹後国: 椋橋部の存在、加佐郡に椋橋郷
美濃国: 倉橋部造氏

参考文献

太田亮「国立国会図書館デジタルコレクション 椋椅部　クラハシベ」『姓氏家系大辞典』 第2、上田萬年、三上参次監修、姓氏家系大辞典刊行会、1934年、2180-2181頁。
* 佐伯有清『新撰姓氏録の研究』 考證篇 第6、吉川弘文館、1983年8月。

これらの記録から、倉橋部氏が古代において広範囲に活動していたことが窺えます。特に、皇室の領地管理に関わっていたことから、その社会的役割も重要であったと考えられます。

もう一度検索