倫子女王

倫子女王の生涯

倫子女王は、元文3年（1738年）に閑院宮直仁親王の第六王女として京都で誕生しました。母は閑院宮家の女房である讃岐です。幼名は五十宮（いそのみや）と称しました。

寛延元年（1748年）、倫子女王と将軍家重の世子である徳川家治との縁組が決定し、翌年には京都を発ち江戸へ入りました。当初は浜御殿に入り、宝暦3年（1753年）に縁組の披露が行われ「姫宮様」と呼ばれます。その後、宝暦4年（1754年）に江戸城西の丸へ入り、婚礼の儀を執り行い、「御簾中様」と称されるようになりました。

宝暦6年（1756年）には、家治との間に長女・千代姫を授かりますが、千代姫はわずか2歳で夭折します。宝暦10年（1760年）には江戸城本丸に移り、御台所となります。同年に従三位に叙せられ、夫の家治が征夷大将軍に任命された際には、9月には従三位に昇進しました。また、次女の万寿姫を出産し、家治の側室の子である徳川家基（竹千代）の養母となりました。

明和8年（1771年）に34歳で薨去し、戒名は心観院殿従二位浄池蓮生大姉。上野の寛永寺に埋葬されました。没後、従二位、さらに従一位を追贈されています。

人物

倫子女王と家治の夫婦仲は非常に良好であったと伝えられています。家治が将軍世子であった頃、倫子に会うために西の丸大奥を頻繁に訪れていました。しかし、倫子付きの女中たちがこれを拒んだため、家治付きの女中たちとの間で不和が生じたという逸話が残っています。この不和は、家治の乳母である岩瀬が仲介に入り、両者を和解させました。

また、倫子女王はしばしば大奥を出て、吹上御庭を散策し、木々や草花に触れて気分転換を楽しんでいたと「徳川実紀」に記されています。このことから、倫子女王は自然を愛でる心優しい人物であったと考えられます。

関連作品

倫子女王を題材とした作品もいくつか存在します。

テレビドラマ
大奥（関西テレビ、1983年）：志乃原良子が倫子女王を演じました。
大奥（NHK、2023年）：趙珉和が演じましたが、男女逆転設定となっています。
大奥（フジテレビ、2024年）：小芝風花が倫子女王を演じました。

バラエティー・教養番組
日本史サスペンス劇場（日本テレビ、2008年）：井村空美が倫子女王を演じました。

漫画
大奥（よしながふみ）：男女逆転設定で描かれています。

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