兀突骨

兀突骨（ごつとつこつ）について

兀突骨は、中国の通俗歴史小説『三国志演義』に出現する架空の人物で、南蛮にある烏戈国の王として描かれています。彼の外見的特徴は非常に印象的で、身の丈はおよそ12尺、これは後漢の尺で約276cm、魏・晋の尺では288.2cmという巨人のような体格です。また、体全体が鱗に覆われており、その姿はまるで神話の生物のようです。

彼の食事には特異な点があり、穀物は一切口にせず、代わりに生きた獣や蛇を食べるという独特の習性を持っていました。兀突骨は、その並外れた力と生き方からくる威厳で、周囲の者たちに恐れられ、同時に尊敬を受けていました。

兀突骨は藤の蔓を用いて油を染み込ませた藤甲という特別な鎧を身に着けており、これは鎧状に編まれ、乾燥させたものです。この藤甲は刀や矢を通さない防御力を持ち、水の中でも浮かんで移動することができる優れたものでした。彼はこの藤甲をまとった部隊、つまり藤甲軍を指揮し、河川や湿地などの多様な環境においても戦を展開しました。

彼の力は計り知れず、かつて蜀漢の軍に敗北し続けていた孟獲に代わって蜀軍に大きな打撃を与え、苦戦を強いることになります。しかし、兀突骨の運命は諸葛亮によって大きく変わります。諸葛亮は彼の藤甲の製造法やその火に対する脆弱性を把握しており、その情報を魏延に与えました。結果として、魏延は兀突骨を罠に誘い込み、盤蛇谷において待ち構えていました。

魏延はその巧妙な策略によって兀突骨と彼の部隊に地雷を仕掛け、これにより彼ら全員を焼き殺すことに成功しました。兀突骨の軍が壊滅した後、諸葛亮はその後の戦略の一環として兀突骨の軍勢に変装し、孟獲を引き寄せる計画を立てました。孟獲が現れると、諸葛亮の軍が兀突骨を討ち取ったと偽り、彼を罠にかけて捕えました。

このように、兀突骨の物語は政治的な策略や戦争の激しさが交錯する中で展開されていきます。しかし、諸葛亮はこの冷酷な勝利に対して、深い恐怖を感じていました。彼は兀突骨と彼の軍勢を焼き殺すという行為が、自らに対する報いとして返ってくるだろうと語り、その咎により長生きできないだろうと考えます。この感情が、後の五丈原での病没の前触れとなるのです。

兀突骨の存在は、『三国志演義』における南蛮人の象徴として位置づけられ、彼の壮大な姿と背景は多くの読者に印象深く残ります。その物語を通じて、戦争の犠牲や策略の恐ろしさ、また人間の運命が巧妙に織り成されていることを示しています。

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