元欣

元欣（げん きん、生没年不詳）は、北魏・西魏時代の皇族で、字は慶楽。北魏の節閔帝元恭の兄であり、西魏の八柱国の一人として知られています。

生い立ちと初期の経歴

元欣は、北魏の広陵王元羽の子（献文帝の孫）として生まれました。性格は粗忽であったとされ、鷹や犬を好む一面もありました。孝明帝の初年には、通直散騎常侍・北中郎将に任じられ、政界でのキャリアをスタートさせます。その後、冠軍将軍・荊州刺史として地方へ赴任し、さらに征虜将軍・斉州刺史へと転じました。斉州と荊州を治めた際には、官民双方から協力を得て、善政を敷いたと伝えられています。また、征東将軍・太僕卿も歴任しました。

北魏末期の動乱と元欣

528年5月、尚書右僕射の元羅が東道大使となると、元欣はその下で副使を務めました。同年6月には、高乾を斉州で降伏させるという功績を挙げました。9月には沛郡王に封じられ、531年3月には太傅・司州牧となり、淮陽王に改封されました。532年には、太師・開府を加えられ、その地位をさらに高めます。7月には父の広陵王の位を継承しました。

533年7月には大司馬・侍中となり、534年5月には左軍大都督に任じられました。同年8月、孝武帝に従って関中に入り、北魏の混乱を避ける行動を共にしました。534年1月には、太傅・録尚書事に就任しています。

西魏での活躍と晩年

西魏においては、元欣は宗室の中で最も上位に位置し、広平王元賛をはじめとする他の王侯よりも高い格式で遇されました。537年5月には太宰となり、大宗師、大冢宰・中軍大都督と昇進を重ねました。さらに、柱国大将軍となり、西魏の屋台骨を支えた八柱国の一人に数えられます。548年5月には再び太傅となり、その後司徒に転じました。554年には大丞相に任じられ、その生涯を閉じました。諡は容と贈られています。

元欣の生涯は、北魏末期の動乱から西魏の成立という激動の時代を反映しており、彼の政治的、軍事的才能が、西魏の安定に大きく貢献したと言えるでしょう。

参考文献

『魏書』巻21上 列伝第9上
『北史』巻19 列伝第7

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