元羽

元羽（げん う）

元羽（470年 - 501年）は、北魏の皇族であり、広陵王の地位にありました。字は叔翻といい、孝文帝の異母弟であり、後の節閔帝の父にあたります。

生涯

献文帝と孟椒房の間に生まれました。太和9年（485年）に広陵王に封じられ、侍中・征東大将軍を兼ね、外都大官となりました。若い頃から聡明で、「断獄」と称されるほど裁判に長けていました。廷尉に任じられ、衛将軍の号を加えられ、平城における刑事裁判を司りました。その後、特進・尚書左僕射に転じ、太子太保・録尚書事も務めました。

太和17年（493年）には、孝文帝の南征に際し、六鎮の突騎を動員するために派遣されました。平城に帰還後、廷尉卿を兼任しました。孝文帝が出征すると、太尉の元丕と共に平城の留守を預かり、使持節を加えられました。洛陽遷都の議論がまとまると、元羽は太尉を兼任し、遷都後も平城に留まり、北方の民の動向を監視しました。太和18年（494年）春には、廷尉卿の辞任を申し出ましたが、許されませんでした。

太和19年（495年）、孝文帝の南征に際して、元羽は使持節・都督青斉光南青四州諸軍事・征東大将軍・開府・青州刺史に任じられました。後に散騎常侍の位を加えられ、車騎大将軍に進みました。太和22年（498年）、孝文帝の南征に従軍し、南朝斉の裴叔業と竜亢で戦いましたが、敗北を喫しました。

宣武帝が即位すると、元羽は司州牧に転じました。宣武帝は元羽を司徒に任じようとしましたが、元羽は固辞し、司空の官を望みました。景明2年（501年）1月、司空に任じられました。しかし、当時、元羽は員外郎の馮俊興の妻と不倫関係にあり、夜に遊んでいたところを馮俊興に襲撃されました。同年5月18日、王邸で死去。享年32歳。死後、使持節・侍中・驃騎大将軍・司徒公・冀州刺史の位が追贈され、諡は恵とされました。

家族

妻:
鄭始容
王氏

男子:
元欣
元恭（広陵王、前廃帝、節閔帝）
元永業

史料

『魏書』巻21上 列伝第9上
『北史』巻19 列伝第7
『南斉書』巻51 列伝第32
侍中司徒公広陵王墓誌銘（元羽墓誌）
魏故司空広陵恵王元羽妻鄭太妃之銘（鄭始容墓誌）

もう一度検索