全紀

全紀の生涯とその時代背景

全紀（ぜんき、年表記は生年不詳 - 258年）は、中国の三国時代における呉の政治家であり、揚州呉郡銭唐県出身です。彼は全琮の一族に属し、家族は孫権の姉妹と婚姻するなど、呉国の皇室と結びつきが深い一族でした。

家族と一族の繁栄

全紀の父、全尚は太常や衛将軍など高位の官職を歴任し、この家族の地位は非常に高まりました。特に、全氏一族は、孫亮の時代において5人の侯に封ぜられたことからも、この時代の権力の中で優位に立っていたことがわかります。全紀自身も、このような家族の一員として黄門侍郎に任じられ、呉国の政治に関与していました。

諸葛誕の乱と内紛

太平2年、魏の諸葛誕が反乱を起こした際、全紀の一族を含む多くの戦力が派遣されましたが、内部の対立が災いし、全紀の母親が諸葛誕の元に降伏することになりました。これにより、全紀とその一族は大きな衝撃を受け、彼らの立場は脅かされることとなります。

特に、この内紛は孫綝が軍を指揮しながらもうまくいかず、多くの武将や兵士を失う結果となりました。その後、孫綝は朝廷内で強勢を誇示することになりますが、全紀内での権力闘争はますます激化しました。

孫亮の計画と全紀の役割

太平3年、孫亮は全紀を秘密裏に呼び寄せ、孫綝を排除する計画を立てました。この計画には、全尚や他の有力者も関わっており、全紀はその重要な役割を果たすことになります。計画の核心は、孫綝の兵力を分散させ、包囲することにありました。

しかし、全紀の行動がうまくいかず、母が計画を孫綝に漏洩しました。これにより動き出した孫綝の対応は迅速で、孫亮の宮殿はすぐに包囲される事態となります。激怒した孫亮は出陣しようとしましたが、周囲の取り計らいにより断念せざるを得ませんでした。

全紀の悲劇と全氏一族の衰退

孫亮は全紀を責める計画が漏れた結果、強い逆境に立たされ、また全紀はその責任を感じて自ら命を絶ちます。その後、全煕の誅殺や孫亮の廃位、全尚の流罪が相次ぐ中で、全氏一族の力は次第に衰退していきました。彼らが成し遂げた繁栄も、内部の対立と外部の圧力によって崩れていく運命にあったのです。

このように、全紀の生涯は、家族の繁栄から悲劇的な運命への転落を象徴しており、当時の政治的な力関係の変遷を物語っています。彼の物語は、三国志の複雑な芝居の中心にある多くの人々の運命を映し出しています。

もう一度検索