全角と半角

全角と半角：文字幅の基礎知識

全角と半角は、文字の縦と横の比率を示す概念です。特にコンピューター上で文字を扱う際に重要な意味を持ちます。ここでは、全角と半角について、その意味、用法、歴史、関連規格などを詳しく解説します。

1. 全角と半角の定義

1.1 基本的な意味

• - 全角: 文字の縦と横の比率が1:1であること。
• - 半角: 文字の縦と横の比率が2:1（横書き文字を縦組みにする際は1:2）であること。

「半角」という表現は、主にコンピューター上で全角と対比して使用されます。

1.2 印刷・組版における用法

印刷や組版の分野では、「全角」は文字の送り量や約物の高さを指します。漢字などの正方形に近い文字の高さを基準とし、その大きさを「全角」と呼びます。この大きさに文字や約物を配置することを「全角取り」といい、文字の前後のスペースを「全角アキ」と呼びます。

「半角」という表現は一般的ではなく、全角の半分を「二分（にぶ、にぶん）」、3分の1を「三分（さんぶ、さんぶん）」、4分の1を「四分（しぶ、しぶん）」と呼びます。これらの量を用いた「二分取り」「四分アキ」などの表現も存在します。

1.3 コンピューターにおける用法

コンピューター上の文字では、以下の3つの意味合いがあります。

• - 全角文字:

- バイト数が2バイトの文字（マルチバイト文字の一部）。
- ASCIIおよびJIS X 0201以外の文字。
- 表示上の字形の縦横比が1:1の文字。

• - 半角文字:

- バイト数が1バイトの文字。
- ASCIIおよびJIS X 0201の文字。
- 表示上の字形の幅が全角文字の半分である文字。

2. 全角と半角の歴史

東アジアの印刷物は、元々手書きの原稿を再現する木版印刷によって製作されていました。中国の明代初期には、文字（漢字）を同じ大きさの正方形に収め、長方形のページに整然と配置する様式が発達しました。これは、分業化のために文字の大きさを統一する必要があったためです。この組版様式は「箱組み」または「枡組み」と呼ばれ、現在でも漢字文化圏の印刷物で広く用いられています。

西洋から活版印刷が導入された際も、活字は字面の幅と高さが同じになるように作られました。現在でも、文字の送り量は文字の大きさを基準とし、文字の高さと同じ量を「全角」、半分の量を「二分」、4分の1の量を「四分」と呼びます。

コンピューターで文字情報を扱えるようになった当初は、処理能力の制約から、すべての文字を同じ幅で表示・印刷していました。1バイトで表される文字を基準とし、東アジアの文字は2バイト以上を用いることで利用可能となりました。当初は2バイトで表される文字を1バイト文字の2倍の幅で表示したため、1バイト文字は「半角文字」と呼ばれるようになりました。

3. 全角と半角の用途

• - 等幅フォント: コンピューター環境では、JIS X 0201の文字は半角、JIS X 0208の文字は全角で表示・印刷されることが多いです。文字の桁位置を揃えたり、文字を強調したりするために、文字幅の違いを利用します。
• - 新聞・通信社: 字数計算を容易にするため、英数字にも全角形を用いることがあります。
• - レシートプリンター: 半角の円記号などを半角漢字として実装しているものがあります。
• - 校正: JIS Z 8208では、文字の幅の区別を指摘・修正するための記号が規定されています。
• - 公文書: JIS X 0201とJIS X 0208の区分けを意図して「全角文字」「半角文字」の語が使用されることがあります。

4. 全角と半角の問題点

印刷物の組版では、文字の実際の字取りは全角と半角に単純に区分できるものではありません。約物の字取りは文脈によって変わり、欧文の文字は幅が不定です。そのため、同じ文字が複数の符号で表されると、正規化の処理が必要になるという問題があります。

5. 文字コード規格における全角と半角

• - JIS: JIS X 0208は全角、JIS X 0201は半角という理解が広まりましたが、JIS X 0208では個々の文字の幅は規定されていません。
• - ARIB: データ放送や文字放送では、厳密に全角文字と半角文字のコードが規定されており、画面上のレイアウトを表現するために利用されています。
• - Unicode: East_Asian_Width特性によって、文字幅を定義しています。

6. まとめ

全角と半角は、文字の幅に関する重要な概念であり、コンピューターでの文字処理、印刷、組版など、様々な分野で利用されています。それぞれの意味と用法を理解することで、より正確な文字表現が可能になります。

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