全農号

全農号：米専用貨物列車の詳細

全農号は、八戸貨物駅と百済貨物ターミナル駅を結ぶ、米輸送に特化したコンテナ貨物列車の愛称です。

運行の背景

この列車は、全国農業協同組合連合会（JA全農）、全農物流、日本貨物鉄道（JR貨物）が連携し、2023年11月5日に運行を開始しました。2024年問題による物流の混乱が懸念される中、米の安定供給を目指し、米の主要産地である東北、新潟、北陸地方から、消費地である東海、西日本方面への輸送ルートを確立することが目的です。

JA全農と全農物流は、トラックドライバー不足などによる輸送力低下に危機感を抱いており、JR貨物が米産地を縦断する専用列車の運行を提案したことが、このプロジェクトの発端となりました。米専用の定期貨物列車は、全国初の試みです。

輸送能力と運行計画

全農号は、車両を丸ごと貸し切り、玄米をコンテナに積載して輸送します。一度の運行で、10トントラック約50台分の輸送力があります。2023年度は月2回の運行でしたが、2024年度には月最大4回の運行を予定しており、年間でJA全農が販売先まで運ぶ玄米の約2%にあたる、2万4000トンを鉄道輸送に切り替えることが可能です。

試験運行と品質確認

本格運行に先立ち、2023年2月、3月、7月に計3回の試験運行が行われました。これにより、取引先からの発注確保や輸送中の米の品質が確認されました。7月の試験運行では、玄米、精米、大豆の3種類を輸送し、夏場の高温環境下でも、長距離輸送による品質への影響がないことが実証されました。初運行では、12ftコンテナ100基分、約500トンの玄米が輸送されました。今後は、精米や大豆などの農産物も輸送対象となる予定です。

宮城県や岩手県など、通常トラック輸送に比べてリードタイムが長い地域も輸送ルートに含まれていますが、試験運行の段階で関係者の理解を得て輸送が実現しました。

運行の詳細

全農号は、日曜運休となる貨物列車を復活させる形で運行されます。日曜夜、宮城県や岩手県から運ばれた玄米を積載したコンテナ20基が八戸貨物駅を出発し、東青森駅、秋田貨物駅、新潟貨物ターミナル駅、金沢貨物ターミナル駅を経由します。各駅では、周辺で生産された米を玄米の状態で集荷し、パレットやフレコンに積載してコンテナに積み込みます。これにより、コンテナの集配を担当する事業者の負担を軽減します。

月曜夕方には、列車は百済貨物ターミナル駅に到着し、関西地区への納品物はトラックに積み替えられます。それ以外の地区への納品物は、別の貨物列車に乗り換え、東海地方や九州地方へ輸送されます。各貨物駅からは、トレーラーで米卸の工場へと輸送されます。産地から販売先までの輸送期間は約1週間です。

停車駅

全農号は以下の駅に停車し、荷役作業を行います。

八戸貨物駅
東青森駅
秋田貨物駅
新潟貨物ターミナル駅
金沢貨物ターミナル駅
百済貨物ターミナル駅

列車は八戸貨物駅から百済貨物ターミナル駅への片道運行です。

使用車両

牽引機には、富山機関区所属のEF510形電気機関車が使用されています。

沿革

2023年2月、3月、7月：試験運行を実施
2023年11月5日：運行開始

関連情報

全国農業協同組合連合会
モーダルシフト
2024年問題
北前船

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