全音

全音（ぜんおん）

音楽における全音とは、全音階を構成する2つの音程のうち、大きい方の音程を指します。これは長二度とも呼ばれ、音の高さの差を表す基本的な単位の一つです。全音は、半音の2倍の幅を持ち、音楽の旋律や和音を構成する上で重要な役割を果たします。

各音律における全音

全音の具体的な音程は、使用する音律によってわずかに異なります。代表的な音律における全音の定義は以下の通りです。

平均律:
平均律では、1オクターブを均等な12個の半音に分割します。このため、全音は半音2つ分に相当し、周波数比は2の6乗根（約1.122）となります。セント値では200セントです。

ピタゴラス音律:
ピタゴラス音律では、完全五度を基準に音程を構築します。この音律における全音は、周波数比が9/8（約1.125）で、セント値では約204セントです。平均律の全音よりもわずかに広い音程になります。

純正律:
純正律では、協和音程を重視して音程を定めます。この音律では、全音はさらに2種類に分けられ、周波数比が9/8（約1.125）のものを「大全音」、10/9（約1.111）のものを「小全音」と呼びます。大全音はピタゴラス音律の全音と同じですが、小全音はそれよりも狭い音程になります。

ミーントーン:
ミーントーンでは、純正律の長三度（5/4）の半分を全音と定義します。この時の全音は√5/2（約1.118）となり、セント値では約193セントになります。ミーントーンは、特に中世からルネサンスにかけての音楽で用いられました。

全音と半音

全音は、半音2つ分の幅を持つ音程です。半音は全音をさらに半分に分割したものであり、最も小さい音程の単位となります。全音と半音を組み合わせることで、様々な音階や旋律が構成されます。

MOSスケール

ゼンハーモニック[[音楽]]の技法の一つとして、全音と半音の量と比率を置き換えて新たな音階を構築する「MOSスケール」というものが存在します。MOSスケールでは、全音と半音の概念が相対的なものになり、従来の音階とは異なる新しい音響空間を創出できます。

関連項目

* 全音音階: 全音のみで構成される音階。全音音階は、特有の響きを持つ音階であり、現代音楽などでよく用いられます。

もう一度検索