八百津駅

八百津駅について

八百津駅（やおつえき）は、岐阜県加茂郡八百津町の伊岐津志に位置した名古屋鉄道八百津線の終着駅でした。2001年10月1日に八百津線が廃止されたことに伴って廃駅となりました。駅は八百津町の中心からは少し離れており、木曽川を渡った対岸にあったため、交通の便がやや不便でした。歴史的に見ても、八百津駅は地方の鉄道路線の一部としての役割を果たしてきました。

駅の歴史

八百津駅は1930年10月1日に東美鉄道の兼山 - 八百津間の開業に伴い設置されました。その後、1943年には名古屋鉄道が東美鉄道を吸収合併し、名鉄の東美線の駅として新たな一歩を踏み出しました。1948年には八百津線に名称を変更され、地域の鉄道網の中心的存在となりました。

さらに、1960年代には職場へのアクセスや観光路線としても活用されました。特に1970年代には、2両編成の電車が運行されており、休日には観光客向けの特急列車も走行していました。しかし、1984年には電化設備が撤去され、レールバスによる運行へと移行。ホームには運転士の安全確認用のバックミラーが設置されるなど、新たな時代へと進化しました。

2001年に八百津線が廃線になった後、駅舎は取り壊され、周辺地域は宅地へと変貌しました。今では、「八百津駅跡」を示す石碑が残され、わずかに遺された線路が当時の名残を感じさせています。

駅の構造と運営

八百津駅は1面1線のプラットホームを有し、当初は有人駅として運営されていましたが、一部時間帯では無人になることもありました。駅は丸山ダムへ向けて延びる鉄道があったことから側線が設けられた時期もありましたが、最終的には撤去されてしまいました。自動券売機などは設置されておらず、利用客は直接窓口にて切符を購入する必要がありました。

乗客数の推移

1992年度には一日平均乗降人員が1,366人に達し、名古屋鉄道全体の駅の中では199位で、八百津線においては9位だったと言われています。これにより、地域交通機関として一定の重要性を担っていた様子が伺えます。地方の鉄道駅でありながら、一定の利用者を抱え、地域に貢献していたことが記録からも読み取れます。

駅周辺の施設

八百津駅周辺には、岐阜県立八百津高等学校や八百津町役場、加茂警察署の八百津交番など重要な施設が点在していました。また、金融機関や地元の酒造もあり、地域の生活の中で重要な存在でした。岐阜県道83号多治見白川線が近くを通っており、周辺交通の要所ともなっていました。ローカルなコミュニティの中心的役割を果たしていたことから、八百津駅は地域住民にとって親しみのある場所だったと言えるでしょう。

隣接駅の情報

八百津駅の隣には中野駅があり、1965年4月5日までは中野駅との間に伊岐津志駅も存在していました。八百津駅はその後、八百津線の終着駅としての役割を全うしましたが、廃線に伴い今はその姿を失ってしまいました。現在、八百津駅跡は過去の歴史を語り継ぐ貴重な場となっています。

八百津駅は地域交通の重要な一端を担っていたものの、インフラの変化によりその役割を終えました。廃駅として歴史の一部となり、新たな住宅地へと姿を変えたその地に、今も多くの思い出が息づいています。

もう一度検索