公同会運動

公同会運動について

公同会運動は、琉球王国の尚泰王の子孫である尚寅や尚順が中心となり、沖縄県の知事を尚家による世襲制とすることを目指して起こされた運動です。この運動は、時には「復藩運動」とも呼ばれ、沖縄の士族たちの特権維持を求める声を反映しています。

経緯

19世紀末にさかのぼると、日清戦争の影響を受けて沖縄の士族は大きな対立を抱えていました。親清派の頑固党と、親日の開化党の間で対立が生じ、状況は非常に複雑でした。しかし、日清戦争で清国が敗北したことで、琉球王国の復国を目指していた運動は失敗し、その影響が表面化しました。士族たちは自らの特権を維持するため、徐々に日本政府を頼る姿勢に転じていきました。

本土では秩禄処分が実施されましたが、沖縄では旧慣温存政策が続いており、士族には金禄が支給されていました。この時期、1895年には琉球新報の太田朝敷が「愛國協会」を設立しましたが、すぐに解散しました。しかし、その後の6月には「公同会」が結成されました。这个会の主要メンバーは、太田の他に尚寅、尚順、伊江朝真、護得久朝惟、高嶺朝教、豊見城盛和、知花朝章、伊是名朝睦の面々で、尚家の世襲による沖縄県政を目指しました。

公同会は沖縄各地での活動を展開し、1896年から1897年にかけて、多くの士族や地方の役人から73,322人の署名を集めました。そして1897年の秋には、請願団が上京して日本政府に請願書を提出しました。しかし、日本政府は当時、経済を資本主義化する方向での制度改革を進めていたため、封建的特権を残す公同会の請願を受け入れることはありませんでした。内務大臣の野村靖も運動に対して厳しい姿勢を示し、この公同会運動は結局、大規模な展開を見ずに自然消滅してしまいました。

内容

沖縄の士族たちは、失われつつある自らの特権を守ろうとする運動を展開したとされています。その趣意書には、彼らの思いが色濃く表れています。

この運動の背景には、歴史的な解釈や琉球の社会構造、または士族の特権観が関連していると言えます。そして公同会運動は、沖縄の歴史における重要な一幕として位置づけられています。

脚注

• - 国場幸太郎 著、新川明、鹿野政直 編『沖縄の歩み』岩波書店、2019年6月14日。ISBN 978-4-00-603313-2。
• - 松永歩 (2009). “沖縄公同会運動と早熟な「自立」構想 : 「特別制度」の「自治」を手がかりに”. 政策科学 16 (2): 113-126. doi:10.34382/00004811。
• - 林泉忠「「琉球抗日復国運動」再考 時期区分と歴史的位置付けを中心に」『政策科学・国際関係論集』第6巻、2003年、144-88頁。

関連項目

• - 琉球救国運動
• - 琉球独立運動
• - 琉球処分
• - 分島問題

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