公孫述

公孫述の生涯と功績

公孫述（こうそん じゅつ）は新末後漢初に活躍した群雄の一人で、字は子陽と呼ばれます。彼は右扶風茂陵県の出身で、蜀郡に地域王朝「成家」を設立したことでも知られています。彼の生涯は、父親である公孫仁が成帝の時代に侍御史を務めていたことから始まります。父の影響で若くして公職に就くことになった公孫述は、清水県の県令としてその才能を発揮しました。

若年期と出発点

公孫仁は息子の公孫述が教えを待たずに独自の考えで動く人物であることを不安視し、彼の身元を保護するために部下を派遣しました。しかし、その部下は公孫述が自ら行動する力を持つことを見抜き、帰還しました。ほかの太守たちが彼に任命した五つの県を兼任する中、公孫述は地域の治安を守り、治政を成功させました。この優れた管理能力は彼を郡民たちから「鬼神」と呼ばれるまでに至らせました。

蜀郡の治安維持と成家の建国

王莽の天鳳年間に入ると彼の名声はさらに高まりよし、導江郡の卒正となります。しかし、赤眉の乱の混乱時に更始帝が即位すると、公孫述は蜀郡で軍を挙げた宗成と王岑の侵略に直面します。しかし、彼は自身を蜀郡太守として宣言し、地元の豪傑を集めて自ら軍を立ち上げ、侵略者を撃退しました。

更始2年（24年）の秋には、長安の更始帝から派遣された李宝や張忠らの軍を彼の弟、公孫恢が綿竹で撃退しました。その後、建武元年（25年）には自らを皇帝として宣言し、王朝名を「成家」と定め、首都を成都に置きました。年号も「龍興」と名付け、新しい鉄銭を発行しましたが、これはあまり好評を得ませんでした。彼は漢中と南鄭、武都郡の地を制圧し、遠く陳倉まで進出しました。

光武帝との対立

しかし、劉秀が漢王朝を継ぐと（後漢王朝）、光武帝の大司徒鄧禹が公孫述の領土に侵入、彼の領地に対して強硬姿勢を取り始めます。龍興6年（30年）には光武帝が公孫述を討つために西進しましたが、隗囂が光武帝に敵対して公孫述に臣従したため、局面が変化します。龍興11年（35年）までに様々な戦闘が続き、公孫述は数回の巧妙な策略で彼に挑みましたが、最終的に軍の侵攻を受け、蜀郡への攻撃が続きました。

最後の日々

龍興12年（36年）、遂に成都が攻められると、公孫述は防衛戦で負傷し、その夜に命を落としました。その後、成都は陥落し、彼の残党に対しては無慈悲な処置が取られました。公孫述はその生涯の終焉を迎えましたが、彼の存在は地域の歴史の中で重要な位置を占め続けています。

関連人物

公孫述の歴史には多くの重要な人物が関わっています。親族としては父の公孫仁と弟の公孫恢がいます。同盟者には隗囂や馬援が名を連ね、各々が公孫述の活動に重要な役割を果たしました。このように彼の存在は、新末後漢初の混乱した時代において忘れてはならない重要な人物であります。

参考文献

• - 『後漢書』巻13　隗囂公孫述列伝3
• - 『華陽国志』巻5　公孫述劉二牧志
• - 『東洋歴史大辞典 上巻』(1941年)　執筆:西田保　
• - 『アジア歴史事典 3』(1984年)　執筆:狩野直禎

もう一度検索