公安職

公安職とは

公安職とは、社会の治安維持を主な職務とする公務員の区分です。国家公務員と地方公務員に分かれ、それぞれが異なる役割を担っています。

公安職の定義

国家公務員における公安職は、国家公務員法上の一般職であり、かつ一般職の職員の給与に関する法律（一般職給与法）に定められた公安職俸給表の適用を受ける職を指します。地方公務員の場合は、各地方公共団体の条例によって定義されますが、おおむね国家公務員の定義に準じています。

給与法や条例に基づいた公安職の定義は厳密であり、公安的な職務を担当する公務員全てが公安職に分類されるわけではありません。例えば、税関職員や入国審査官、検疫官などは、制服を着用し公安職のような印象を受けるかもしれませんが、実際には行政職として採用され、行政職の給与が支給されます。

また、公安職は司法警察権を持つというイメージがありますが、入国警備官や公安調査官は司法警察権を持っていません。逆に、労働基準監督官や麻薬取締官は司法警察権を持っていますが、行政職に分類されます。

検察官は公安に関わる職務を行いますが、検察官の俸給等に関する法律に基づいて給与が支給されるため、公安職には含まれません。自衛官や裁判官も同様に公安職には含まれません。

公安職の特徴

公安職の中でも、警察官と消防吏員が大部分を占めており、全体の約70％に達します。消防吏員は全て地方公務員であり、警察官もほとんどが地方公務員であるため、公安職の多くは地方公務員であると言えます。

警察官は全国に約26万人いますが、依然として人員不足が指摘されており、治安活動の強化のために、更なる増員が必要とされています。そのため、女性警察官の採用枠の拡大や、退職者の再任用制度の活用など、積極的な採用活動が行われています。

公安職の多くは労働三権が認められていませんが、法務教官には例外的に認められています。

公安職の採用と人事

公安職の採用試験は、一般の行政職とは別に設けられています。国家公務員の場合、国家公務員採用総合職・一般職試験の合格者から採用される場合と、別枠の試験が設けられている場合があります。採用後は、公安職内での人事異動や専門的な研修制度が用意されており、その特殊性に配慮した人事体系が構築されています。

しかし近年では、多様な行政需要への対応や職員の資質向上、組織の硬直化を防ぐなどの目的から、公安職以外の職員を一時的に受け入れたり、逆に公安職の職員を他の官庁に出向させるなど、人事交流が進められています。

公安職の種類

国家公務員採用試験から採用される主な公安職
警察官（警察庁本庁採用）
刑務官
法務教官
検察事務官
公安調査官
海上保安官（一部）

個別の採用試験等から採用される主な公安職
警察官（都道府県警察採用）
消防吏員
皇宮護衛官
刑務官
法務教官
入国警備官
海上保安官（海上保安大学校・海上保安学校卒業生）

関連事項

公務員試験
行政警察
憲法学会

公安職は、国民の安全と社会の秩序を維持するために不可欠な存在です。高い専門性と責任感を持ち、国民のために日々職務に励んでいます。

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