六博

六博：古代中国を彩ったボードゲーム

六博（りくはく）は、古代中国で愛されたボードゲームです。紀元前数世紀から存在し、囲碁と並ぶ人気を誇ったとされています。現代のすごろくに似たゲームであったと考えられていますが、そのルールは未だ完全には解明されていません。「博打」や「賭博」の「博」の字は、このゲームに由来すると言われています。また、「棋」という言葉も、かつては六博を指していた時期がありました。

六博の歴史

六博は、初期には単に「博」と呼ばれていました。先秦時代の文献にもしばしば登場し、『論語』や『荘子』といった古典にもその記述が見られます。漢代には特に流行し、宴席の余興として欠かせない存在でした。歴史書『史記』には、六博を巡る争いが、呉楚七国の乱という大きな歴史的事件の一因となったという興味深い逸話が記されています。三国時代にも盛んでしたが、南北朝時代には衰退し、その後「棋」という言葉は、弾棋、そして囲碁を指すようになりました。

博局：六博の盤

六博で用いられる盤は「博局」と呼ばれ、長方形や正方形の形をしています。中央に四角形、その周囲にT字形、そして辺や角に様々な模様が描かれています。これらの模様は、『西京雑記』や出土した簡牘『博局占』などに記されています。特に、博局のデザインは、「方格規矩鏡」と呼ばれる古代の銅鏡の文様と似ていることから、「博局紋」と呼ばれることもあります。

ルール：サイコロと駒の動き

六博は二人で行うゲームで、直方体の駒「棋」を、サイコロの役割をする「箸」（6本の棒）を振って動かします。漢代には、18面体のサイコロ「煢」が使われることもありました。箸や煢の出目によって駒の移動が決まり、特定の位置に駒が到達すると、「梟」という特別な駒に変化します。梟は、他の駒を捕獲できるなど、特別な能力を持っていたようです。『古博経』という文献には、梟が「魚」と呼ばれる何かを捕獲できると記されています。得点の計算方法などはまだ解明されていませんが、点数棒「算」も使用されていたようです。

考古学的発見

近年、考古学的発見が六博研究に新たな光を当てています。海昏侯劉賀の墓からは約5000枚の竹簡が出土し、その中に「青」「白」といった文字や六博用語が多数含まれていることから、一部が六博の棋譜ではないかとの説が提唱されました。2019年には、その中の約1000枚が六博の棋譜であると発表されています。北京大学にも、西漢時代の六博に関する資料が保管されています。これらの発見は、六博のルールの解明や、当時の文化を知る上で貴重な手がかりとなります。

まとめ

六博は、古代中国の文化を理解する上で重要な要素です。そのルールや詳細についてはまだ不明な点も多いですが、文献や考古学的発見を通して、徐々にその全貌が明らかになりつつあります。六博は単なるゲームではなく、古代中国の人々の生活や文化、そして社会構造を反映した、貴重な文化遺産と言えるでしょう。今後の研究によって、さらに多くのことが明らかになることが期待されます。

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