内田嘉吉

内田嘉吉は、1866年（慶応2年）に東京で生まれ、1933年（昭和8年）に亡くなった日本の官僚、政治家です。正三位勲一等という高い位階と勲章を授与されています。

官僚としての経歴

内田は、東京大学法科大学を卒業後、逓信省に入省しました。逓信省では、船舶司検所司検官や逓信大臣秘書官、官房秘書課長、人事課長などを歴任し、1901年には管船局長に就任しました。これらの役職を通じて、日本の通信行政に深く関わりました。

台湾での活動

1910年、内田は台湾総督府民政長官として台湾に赴任しました。1915年までこの職を務め、台湾の行政運営に尽力しました。また、同時期には鉄道部長も兼務し、台湾の鉄道網の整備にも貢献しました。その後、1923年には第9代台湾総督に就任し、台湾の発展に寄与しました。

その他の活動

1917年には逓信次官に就任しましたが、翌年に辞任。その後、貴族院勅選議員に任命され、亡くなるまでこの職を務めました。また、鉄道会議議員、日本無線電信株式会社社長、財団法人滝乃川学園理事など、多岐にわたる分野で活躍しました。

栄典

内田は、その功績により、数多くの栄典を受けています。1892年に従七位、1913年に正四位、そして亡くなった1933年には正三位に叙せられました。勲章としては、1895年に勲六等瑞宝章、1906年に勲三等旭日中綬章、1915年には旭日重光章と勲一等瑞宝章、そして1920年には旭日大綬章を授与されています。

著作活動

内田は、著作活動も積極的に行っており、『台湾総督府専売制度ニ就テ』や『国民海外発展策 附・太平洋に於ける独領殖民地』、『逓信事務と安全第一』などを執筆しました。また、アーヴィング・フィッシャーの『国民保健論』やA.R.ワレースの『南洋』などの翻訳も手掛けています。

内田嘉吉文庫

内田が収集した書籍は「内田嘉吉文庫」として日比谷図書文化館に所蔵されています。この文庫は、和漢図書、欧文図書など多岐にわたる分野の書籍を収蔵しており、研究者にとって貴重な資料となっています。

家族

子息に内田誠がいます。内田誠は父、嘉吉について『父』という著作を残しています。

内田嘉吉は、官僚、政治家として、日本の近代化に貢献した人物であり、その功績は今日でも高く評価されています。

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