内田安夫

内田安夫は、昭和期から平成期にかけて活躍した日本の映画・テレビ業界の重要な人物です。生年月日は不明ですが、昭和30年代から新東宝や東映で撮影技師としてキャリアをスタートさせました。

彼のキャリア初期は、主に映画やテレビドラマの撮影に携わるものでした。数々の作品で撮影を担当し、その技術力は高く評価されていました。中でも、1960年代から1970年代にかけて放送された人気テレビドラマ『特別機動捜査隊』での貢献は特筆に値します。内田氏は同作品において、ドキュメンタリータッチのリアルな描写の中に、独自のケレン味を盛り込んだカメラワークを導入することで、作品に独特の緊張感と魅力を加えました。この独特のスタイルは、当時の視聴者にも大きな印象を与え、番組の人気に大きく貢献したと言われています。

1980年代に入ると、内田氏は東映を離れ、大映テレビの作品に参加するようになりました。この時代には、様々なジャンルのテレビドラマの撮影に携わっています。

平成時代に入ると、内田氏のキャリアは新たな局面を迎えました。彼は映画製作から離れ、エロス系Vシネマの監督やプロデューサーに転身します。この大胆な転向は、彼のこれまでの経験と才能を活かした新たな挑戦であったと言えるでしょう。

しかし、1996年、プロデュース作品「スキャンダラスSEIKO」に関連して、主演女優の神田聖子氏、監督の佐々木浩久氏と共に、公然わいせつ容疑で逮捕されるという事件が起こりました。この事件は、彼のキャリアに大きな影を落とすこととなり、その後は表舞台から姿を消すことになります。

内田安夫氏の撮影作品リストには、新東宝や東映、大映テレビ制作の多くの映画、テレビドラマが含まれています。映画では『麻薬街の殺人』、『殺人と拳銃』、『消えた私立探偵』といった作品から、東映時代には『ファンキーハットの快男児シリーズ』、『台風息子』シリーズ、『飛ばせ特急便』シリーズといった娯楽作品まで幅広く手がけています。

テレビドラマでは、東映制作の『特別機動捜査隊』、『旗本退屈男』、『ぐるぐるメダマン』、『Gメン'75』を始め、大映テレビ制作の『噂の刑事トミーとマツ』、『人はそれをスキャンダルという』、『秘密のデカちゃん』、『高校聖夫婦』、『少女が大人になる時 その細き道』、『不良少女とよばれて』、『セーラー服反逆同盟』など、人気シリーズや話題作に数多く参加しています。また、日本テレビ制作の『セーラー服反逆同盟』、テレビ朝日制作の『はぐれ刑事純情派』なども手がけています。さらに、ピンクレディーの物語を描いた『ピンク・レディー物語 栄光の天使たち』の撮影にも携わっています。

これらの作品を通じて、内田安夫氏は日本の映画・テレビ界に多大な貢献を果たしました。彼の撮影技術は高く評価され、多くの作品に独自の個性を与えました。しかし、晩年の事件によって、その功績は影に隠れてしまった部分もあります。それでも、彼の作品は現在も人々に記憶されており、日本の映像史における重要な役割を果たしたと言えるでしょう。彼の兄弟には、東映のカメラマンだった内田正司氏とフリーカメラマンの内田清美氏がいます。また、第2回と第11回の日本テレフィルム技術賞を受賞するなど、その技術は広く認められていました。

もう一度検索