内田秀五郎

内田秀五郎は、1876年（明治9年）に東京府東多摩郡上井草村（現在の東京都杉並区）に生まれ、日本の政治家として多岐にわたる活躍をしました。彼の政治家としてのキャリアは、1907年（明治40年）に井荻村長に就任したことから始まります。1926年（大正15年）の町制施行後も引き続き町長を務め、その手腕を発揮しました。

特に、関東大震災後の東京近郊における都市化の波に対応するため、内田は様々な政策を推進しました。その中でも特筆すべきは、省線中央本線（現在のJR中央線）への西荻窪駅の設置を実現したこと、そして新たに開通した西武鉄道に対して上井草、井荻、下井草の三駅を誘致したことです。これらの鉄道駅の開設は、地域住民の利便性を大きく向上させ、その後の発展に重要な役割を果たしました。

さらに内田は、町主導で大規模な区画整理を行い、善福寺一帯を風致地区に指定しました。この取り組みは、自然環境を保全しつつ、住みやすい街づくりを進める上で重要な施策でした。産業振興にも力を入れ、井荻信用購買組合（現在の西武信用金庫）や東京新宿青果（現在の東京新宿ベジフル）を創立し、地域経済の活性化に貢献しました。また、中島飛行機東京工場（現在の桃井原っぱ公園）の誘致にも成功し、地域雇用の創出にも寄与しました。

政治家としての内田の活躍は、地方行政に留まりませんでした。1924年（大正13年）には東京府会議員に選出され、1936年（昭和11年）から1937年（昭和12年）にかけては、第17代東京府会副議長を務めました。1932年（昭和7年）には井荻町が東京市に吸収合併されたことに伴い、同年11月5日に東京市会議員に就任。その後、1943年（昭和18年）6月30日に東京府議と東京市議を共に退任するまでの間、府議を5期、市議を4期務めました。

1943年9月13日、第1回東京都議会議員選挙で杉並区選挙区から立候補し、見事初当選を果たしました。1945年（昭和20年）10月22日には第3代東京都議会議長に就任し、同時に全国都道府県議会議長会会長にも選ばれました。1946年（昭和21年）10月24日に議長を退任するも、後任の桑原信助の死去に伴い、同年12月4日に再び都議会議長に就任（第5代）し、全国都道府県議会議長会会長も再び務めました。1947年（昭和22年）に任期満了をもって都議を退任し、1975年（昭和50年）7月26日にその生涯を閉じました。

内田秀五郎の功績は、その政治手腕と先見性にあります。地域発展のために鉄道駅の誘致や区画整理を推進し、産業振興にも尽力しました。彼のリーダーシップによって、今日の杉並区の発展の基礎が築かれたと言えるでしょう。その功績を称え、1971年（昭和46年）には勲三等旭日中綬章が授与され、没後には従四位が贈られました。

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