内藤正誠

内藤正誠：幕末の岩村田藩主、激動の生涯

内藤正誠（ないとう まさのぶ）は、幕末の信濃国岩村田藩の第7代（最後）の藩主であり、岩村田内藤家8代当主です。

生涯

弘化2年（1845年）に、岩村田藩主・内藤正縄の世子であった正義の長男として生まれました。しかし、父・正義が家督を継ぐことなく早世したため、正誠が世子となります。万延元年（1860年）に正縄の死去により家督を相続し、雁間詰めを命じられます。同年には将軍・徳川家茂に拝謁し、従五位下・志摩守に叙任されました。

文久元年（1861年）には日光祭礼奉行を命じられ、同年には奏者番に就任しますが、文久2年（1862年）の文久の改革によって奏者番が廃止されたため、職を辞することになります。ちなみに、老中を罷免された磐城平藩主・安藤信正は母方の伯父にあたり、正誠は信正の娘を正室としています。また、正誠の弟・安藤信勇は安藤家の養子となり、最後の磐城平藩主となっています。

元治元年（1864年）には幕領である御影陣屋の警備を命じられ、同年には奏者番に再任されました。慶応元年（1865年）には長州征討にともない先鋒総督に従って出陣を命じられ、大坂警備も担当します。慶応3年（1867年）には寺社奉行を兼任しますが、慶応4年（1868年）には奏者番と寺社奉行を辞任しました。

慶応4年（1868年）には病気を理由に老臣を上洛させますが、自身が長く江戸に留まり恭順の姿勢を明確にしなかったため、明治新政府から謹慎を命じられます。その後、新政府軍に協力することを申し出て、北越戦争などに出兵しました。謹慎を解かれた後、上洛して明治天皇に拝謁し、新政府から慰労金も賜っています。

明治2年（1869年）の版籍奉還により岩村田藩知事となりますが、明治4年（1871年）の廃藩置県によって免職されました。明治10年（1877年）には経済的に困窮し、身代限りとなります。同年には隠居し、養子の正愨に家督を譲りました。明治13年（1880年）に36歳で死去しています。

養子の正愨は、土佐新田藩主・山内豊誠の次男であり、内藤家の家督を継いだ後、子爵となっています。

系譜

実父: 内藤正義
実母: 安藤利幾子（安藤信由の次女）
養父: 内藤正縄
正室: 安藤力子（安藤信正の娘）
子女: 安藤鋠（内藤正愨の後妻）
養子: 内藤正愨（山内豊誠の次男）


内藤正誠は、幕末という激動の時代に藩主として、幕府と新政府の間で難しい立場に立たされました。その生涯は、時代の変化に翻弄されながらも、藩の存続のために尽力した姿を今に伝えています。

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