内豎所

内豎所（ないじゅどころ）の概要

内豎所は、日本の律令制度において特定の役割を持つ官司であり、主に内裏に関連する雑務や警護を管理していました。これは内裏に勤務する内豎という職務を統括する機関で、彼らの業務を円滑に進めるための組織でした。

内豎の歴史的背景

内豎という名称は、もともと豎子と呼ばれていました。初めてこの名称が記録されたのは、757年に編纂された『続日本紀』の中で、内供奉豎子として言及された部分です。この事実から、内豎所の設置はそれ以前にさかのぼることが推測されます。また、内豎をまとめるための機関である豎子所も存在しており、その設置時期は不明です。

名称の変更と政権の影響

天平宝字7年（763年）には、豎子が内豎に改名されると同時に、豎子所も内豎所に改称されました。これは当時の淳仁天皇と恵美押勝による政権強化の一環として行われたと考えられています。興味深いことに、この政策は後に内豎の実権を強化することとなった称徳天皇の時代にも承継され、神護景雲元年（767年）には内豎省に昇格するという形で発展していきました。

内豎の変遷と最終的な廃止

しかし、称徳天皇の死去と道鏡の失脚により、内豎は宝亀3年（772年）に内豎省と共に廃止され、機能が各衛府に分かれる形で終焉を迎えました。その後、内豎は短期間ながら復活を果たし、内豎曹司という新たな組織形態が設けられましたが、再び廃止されてしまいます。弘仁2年（811年）になると、内豎所が再設置され、これ以降は蔵人所の傘下で内裏内の時刻管理などの業務を担当することになりました。

内豎所の組織構成

『延喜式』において、内豎所は中務省の所属官司として位置付けられています。内豎所のトップである別当は通常、大臣や摂政関白で任命されていましたが、実際のところは名誉職に近く、初任者として延喜9年（909年）に左大臣の源光が起用された事例が存在します。その下には近衛次将や六位の官人たちが別当に任命され、内豎を監督する役割を担っていました。

実務と官人の地位

内豎所における実務を統括する責任者である頭（かしら）は、伊勢または美濃の掾が兼任する慣例がありました。これにより、内豎所の実務は安定したものとなっていたのです。頭の職は公的な地位においては様々な官人の中では低い位置にあり、実際に任命される官人はこの地位よりも高いことが一般的でした。このように、内豎所はその歴史の中で多くの変化と発展を遂げてきた重要な機関でした。

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