冠岳区

冠岳区（クァナクく）

大韓民国ソウル特別市の南部に位置する冠岳区は、冠岳山の雄大な山並みを背景に広がる緑豊かな地域です。古くからソウル郊外の住宅地として発展し、特に冠岳山の丘陵地帯に多くの住宅が立ち並んでいます。

歴史

冠岳区の歴史は比較的浅く、1973年 7月1日に永登浦区から鷺梁津洞、上道洞、奉天洞、本洞、黒石洞、銅雀洞、舎堂洞、大方洞、新大方洞、方背洞、新林洞といった広範な地域が分離して誕生しました。その後も行政区画の再編が幾度か行われています。1980年 4月1日には、鷺梁津洞や上道洞など多くの地域が新たに設けられた銅雀区へ移管され、方背洞は江南区に編入されました。1988年には九老区の一部が新林洞に編入されています。行政内部の効率化を図るため、2008年 9月1日には行政洞の数が27から21へと統廃合され、名称も変更されました。

地理

ソウル市の南端に位置し、区の名称にもなっている冠岳山（標高632m）が区の象徴です。主な河川としては、奉天川や道林川が区内を流れています。隣接する自治体は多岐にわたり、東は瑞草区と京畿道果川市、西は九老区と衿川区、南は京畿道安養市、北は銅雀区と永登浦区に囲まれています。

行政

度重なる行政区画の調整と洞の統廃合を経て、現在は21の行政洞が設置されています。区長は1995年から公選制が導入され、4年ごとに選挙が実施されます（同一人物の継続在任は3期12年まで）。現在の区長は柳鍾珌氏です（共に民主党、民選5-6期）。議会は1991年4月に設置され、定数は22名です。中選挙区制（8選挙区19名）と比例代表制（3名）の並立制で、こちらも4年ごとに選挙が行われます。行政組織は6つの部局の下に34の課が置かれています。

治安・消防

治安維持のため、ソウル冠岳警察署（棗園洞を除く冠岳区を管轄）とソウル衿川警察署（棗園洞を管轄。警察署自体は冠岳区内にあります）が管轄しています。ソウル冠岳警察署の下には、地区隊や派出所、治安センターなど合計23ヶ所の施設が配置されています。消防に関しては、冠岳消防署が1ヶ所設置されており、その下に119安全センター（出張所）が4ヶ所あります。

教育

冠岳区は教育機関が非常に多い地域です。幼稚園37、初等学校22、中学校16、高等学校16、大学校1（分校等を除く）、その他3を含む合計95校が設置されています。特にソウル大学校冠岳キャンパスがあることで知られており、他にも国際神学大学院大学校があります。主な高等学校には光新高等学校やソウル美術高等学校などがあり、中学校や初等学校も区内に多数存在します。冠岳区の中学校は、ソウル特別市銅雀冠岳教育支援庁の管轄下にあります。

交通

区内には複数の鉄道網が整備されています。

鉄道

韓国鉄道公社: 果川線の一部（南泰嶺駅※）が利用可能です。
ソウル交通公社: 2号線（舎堂駅※、落星垈駅、ソウル大入口駅、奉天駅、新林駅、新大方駅※）と4号線（舎堂駅※、南泰嶺駅※）が運行しています。※印の駅は登記上の所在地が区境または他区ですが、実質的に冠岳区の利用駅となっています。
南ソウル軽電鉄: ソウル軽電鉄新林線が区内を縦断し、堂谷駅、新林駅、書院駅、ソウル大ベンチャータウン駅、冠岳山駅などの駅があります。

道路

果川大路や始興大路といった主要な「大路級」道路に加え、殷川路、冠岳路、新林路、南部循環路、奉天路など多数の「路級」道路、そして仁憲街、亀岩街、大学街、蘭谷路などの「街級」道路が区内に張り巡らされており、広範な交通ネットワークを形成しています。

姉妹都市

冠岳区は国内外の様々な自治体や団体と姉妹都市・友好協力関係を結んでいます。

国内

全羅北道: 高敞郡（1996年 6月7日）
全羅南道: 康津郡（2004年 4月8日）、咸平郡（2011年5月2日）
江原特別自治道: 平昌郡（2004年 6月29日）、楊口郡（2008年 11月20日）
忠清南道: 公州市（2005年 4月13日）、舒川郡（2008年 7月22日）
忠清北道: 槐山郡（2007年 1月19日）
慶尚北道: 星州郡（2005年 11月23日）
その他: 姜邯賛艦 (大韓民国海軍) (2008年2月26日)

国外

イギリス（ロンドン市）: キングストン（2006年 11月14日）
中華人民共和国（北京市）: 大興区（1995年 3月22日）
中華人民共和国（吉林省）: 延吉市（2011年8月28日）
中華人民共和国（遼寧省瀋陽市）: 鉄西区（1998年2月9日）
中華人民共和国（内モンゴル自治区）: フフホト市（2012年 8月30日）
その他: 駐英韓国人会 (2006年 11月15日)

（※上記日付は姉妹都市・友好協力締結日）

冠岳区は、冠岳山の自然と都市機能が調和した、住みやすさが特徴の地域です。ソウル大学校を擁する学術都市としての側面も持ち合わせています。

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