初始

初始（しょし）は、中国、前漢の皇太子であった孺子嬰（じゅしえい）の治世、西暦8年に用いられた年号です。この年号は、前漢が滅亡し、簒奪者である王莽（おうもう）が新たに「新」を建国する直前に使用された、最後の前漢の年号として歴史に刻まれています。

孺子嬰は、前漢の実権を握っていた王莽によって擁立された傀儡的な存在であり、彼の治世は極めて不安定なものでした。王莽は着々と簒奪の準備を進め、人心を掌握するための様々な策を弄しました。

初始元年（西暦8年）11月、王莽は自らの権威を確立するため、年号を「居摂（きょしょう）」から「初始」へと改元しました。しかし、この改元は単なる形式的なものではなく、王莽が簒奪を正当化するための重要なステップでした。彼は、自らを天命を受けた皇帝であると喧伝し、新たな王朝を樹立するための準備を着々と進めていきました。

そして、初始元年の12月、王莽はついに簒奪を実行に移し、皇帝の位を簒奪し、「新」を建国しました。彼は、初始元年の12月1日を新の始建国元年正月1日と定め、前漢を滅ぼしたのです。これにより、約200年続いた前漢王朝は終焉を迎え、中国の歴史は新たな時代へと突入しました。

「初始」という年号は、前漢の終焉と新の始まりという、中国史上における大きな転換期を象徴する年号と言えるでしょう。王莽による簒奪は、当時の社会に大きな混乱をもたらし、その後の中国の歴史に大きな影響を与えました。短命に終わった新王朝でしたが、その後の後漢の成立、そして三国時代へと繋がる、激動の時代の幕開けとなりました。

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