始建国

始建国（しけんこく）

始建国は、新の王莽によって定められた最初の元号であり、西暦9年から13年までの5年間使用されました。前漢の初始元年の12月を正月として改元が行われ、この元号の制定は、王莽が漢王朝から禅譲を受け、新たな王朝を樹立したことを示す重要な出来事でした。

概要

王莽は、儒教的な理想に基づいた政治を目指し、周の時代の制度を参考に様々な改革を試みました。これらの改革は、社会の安定と秩序の回復を目的としていましたが、実際には社会に大きな混乱をもたらし、王莽の治世を不安定にする要因となりました。始建国という元号には、新たな国を建設するという王莽の強い意志が込められていました。

始建国時代の出来事

元年（9年）: 漢の最後の皇帝であった孺子嬰（じょしえい）を定安公に封じました。また、周の時代の井田制を模範として、全国の土地を「王田」と改称し、土地の私有を制限しようとしました。さらに、民間の奴隷を「私属」と呼び、奴隷の売買を禁止しました。貨幣制度においては、漢王朝の劉氏に関わるとして、契刀・錯刀・五銖銭を廃止し、新たに大泉五十と小泉直一を発行しました。
2年（10年）: 貨幣制度の改革をさらに推し進め、銅貨、金貨、銀貨、亀貨、貝貨、布貨の6系統、計28種類もの貨幣を発行しました。この複雑な貨幣制度は、経済を混乱させ、民衆の不満を高める結果となりました。
* 3年（11年）: 北方の匈奴が国境を侵犯し、国内の治安が悪化しました。王莽は匈奴への対策に苦慮し、軍事的な負担が増大しました。

王莽の改革とその影響

王莽は、始建国の時代に様々な改革を行いましたが、その多くは現実を無視した理想論に基づいており、社会に混乱をもたらしました。土地制度の改革は、豪族や富農の反発を招き、貨幣制度の改革は、経済を混乱させ、民衆の生活を困窮させました。また、匈奴との関係悪化は、軍事的な負担を増大させ、国家財政を圧迫しました。

これらの要因が重なり、王莽の新王朝は短命に終わり、後漢の成立へとつながりました。始建国の時代は、王莽の理想と現実の乖離、そしてその結果としての社会の混乱を象徴する時代と言えるでしょう。

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