劉宇

劉宇（りゅう う）

劉宇は、前漢の宣帝の息子として生まれました。母は公孫婕妤で、甘露2年（紀元前52年）に東平王に封じられ、兄である元帝の即位後に領国へ赴任しました。

生涯

成長した劉宇は、素行不良な者たちと交流し、法を犯すようになりました。元帝は兄弟であることから罪を問いませんでしたが、劉宇の側近たちは処罰されました。また、母親との仲も悪化し、母親が宣帝陵での仕事に就くことを願うほどでした。元帝は使者を送り劉宇を諭し、劉宇は改心を誓いました。

元帝の崩御後、劉宇は帝位を窺う発言をするようになります。「大臣たちは、幼い成帝では天下を治められないと考え、私に補佐させようとしている」と述べ、喪に服することなく通常の生活を送りました。しかし、寵姫の一人を疎んじて虐待したことが発覚し、その寵姫が劉宇の悪事を密告。劉宇は口封じのためにその寵姫を殺害しましたが、役人に知られ、逮捕されるよう上奏されました。結果として、領地を2県削られるだけで済みましたが、3年後には元に戻されました。

長安に入朝した際、劉宇は諸子百家の書や『史記』を求めたものの、王鳳の反対により許可されませんでした。王鳳は、『史記』には権謀術数や地形、災異などが記されており、諸侯王が持つべきではないと主張しました。

鴻嘉元年（紀元前20年）に劉宇は死去し、思王と諡されました。子の煬王劉雲が跡を継ぎましたが、劉雲は哀帝を呪詛した疑いをかけられて自殺し、東平国は一時的に取り潰されました。しかし、王莽の政権下で劉雲の太子の劉開明が東平王に立てられ、その後、劉開明の兄である劉匡が東平王となりましたが、劉匡が反乱に加担したため、東平国は滅亡しました。

人物

劉宇は、皇族という恵まれた身分でありながら、帝位を窺うなど野心家な一面がありました。しかし、その行動は度々問題となり、周囲を巻き込む結果となりました。また、母親や寵姫との関係も良好とは言えず、人間関係においても問題を抱えていたようです。

参考文献

* 班固著『漢書』巻14諸侯王表、巻80劉宇伝

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