劉寔

劉寔の生涯と業績

劉寔（りゅう しょく、220年 - 310年）は、中国の三国時代から西晋にかけて活躍した著名な政治家です。彼は字を子真といい、冀州平原国高唐県に生まれました。劉寔は後漢の済北恵王・劉寿の子孫であり、父は県令を務めた劉広です。また、弟の劉智、子どもには劉躋と劉夏がいます。

若き日の劉寔

若い頃の劉寔は、貧しい家庭で育ち、牛の服を売って生計を立てていました。それでも彼は学問に対する強い興味を抱き、膨大な書物を読みあさり、豊富な知識を持つようになりました。彼は清廉潔白な性格で、道徳的な瑕疵が少ない人物でした。このため、彼は郡からは孝廉に、州からは秀才に推挙されましたが、彼はその名声を追うことには興味を示しませんでした。

徐々に彼は官僚としての道を歩むようになり、計吏として洛陽に入り、その後様々な役職を歴任しました。最終的には司馬昭の下で参相国軍事となり、循陽子に封じられました。

政治的活動と予言

263年、鍾会と鄧艾が蜀漢を征伐する際、劉寔は訪れる客に対して、二人が蜀を平定することはあるが、帰還できないと予言しました。実際、鍾会は反乱を起こし、鄧艾は混乱の中で命を落としました。この予言は、『三国志演義』などの歴史書にも記録されています。

泰始年間の初めには、爵位が伯に進められ、さらには少府に昇進しました。その後も重要な役職を次々と任され、279年には杜預の呉討伐に参加しました。

家族とその影響

劉寔は最初の妻を閉じ、彼女との間には息子の劉躋が生まれました。しかし、妻が亡くなった後、新たな妻として華氏を迎え入れることになりました。弟の劉智は華氏との結婚に反対しましたが、劉寔は結婚を選び、次男の劉夏が生まれます。しかし、彼の育った環境の影響もあって、劉夏は賄賂を受け取る罪を犯し、これが原因で劉寔も職を失うこととなります。

帰郷するたびに、劉寔は郷里の人々から大切にされましたが、子供たちには不安を抱くことが多かったようです。他人から「どうして彼らが自ら改められないのか」との問いに、彼は自身の行いが先祖から学んだものではないと答えています。この言葉は多くの人々に受け入れられました。

晩年と業績

後に再び起用され、彼は国子祭酒や散騎常侍を務めることになりました。晋の武帝から清廉さが評価され、皇孫の補佐として選ばれると、広陵王師に任じられます。彼は当時の社会の矛盾を批判し、『崇讓論』という著作を残しました。

晩年には多くの官位を務め、重要な役割を果たしましたが、老齢と病により退任することになります。307年には新帝から太尉に任命されましたが、自らの高齢を理由に辞退し、309年に引退を果たしました。91歳でこの世を去り、その功績から元侯と諡されています。

劉寔は、弟や子どもたちにも影響を与えましたが、その子の中には反面教師的な要素も見受けられました。こうした彼の生涯は、清廉さ、学問、家族の影響などの多くの側面から評価されています。

もう一度検索