劉廙

劉廙（りゅう よく）

劉廙（180年 - 221年）は、後漢末期から三国時代の魏にかけて活躍した政治家であり、字を恭嗣（きょうし）と称しました。彼は南陽郡安衆県（現在の河南省南陽市臥竜区）の出身で、長沙定王劉発の末裔にあたります。

生涯

幼少の頃、10歳にして司馬徽にその才能を見出され、可愛がられました。兄の劉望之は高名で、荊州牧の劉表に仕えていましたが、その正論が受け入れられず迫害を受けました。劉廙は兄に速やかな逃亡を勧めましたが、聞き入れられず、劉望之は殺害されてしまいます。これにより、劉廙は揚州へ逃れ、後に曹操に身を寄せました。

曹操は劉廙を丞相府の属官とし、後に五官将であった曹丕の文学に転任させました。曹丕は劉廙を深く信任し、草書での手紙を許すほどでした。劉廙は恐縮しつつも、この厚意を受け入れました。

曹操が漢中へ遠征しようとした際、劉廙は上奏し、周の文王のように徳を積むべきであると諫言しました。しかし、曹操はこの意見に同意しませんでした。212年に魏国が建国されると、劉廙は黄門侍郎に任じられました。

その後、劉廙の弟が魏諷の反乱に加担したため、劉廙も連座の危機に瀕しました。しかし、陳羣の助言もあり、曹操の恩赦を得て、丞相倉曹属への配置換えという処分に留まりました。この処置に対し、劉廙は曹操に感謝の上奏を行い、陳羣にも深く感謝しましたが、「国家のための事で、殿のご判断である」と陳羣は謙遜しました。

曹丕が魏王となると、劉廙は侍中、関内侯に封じられ、曹丕の皇帝即位を勧める群臣の一人として名を連ねました。221年に死去。没後、墓は盗掘に遭いましたが、生前に司馬懿との間に「師友の恩」があったことから、武帝・司馬炎によって劉阜に修繕費用などが給付されました。

著作

『三国志』によれば、劉廙は数十篇に及ぶ著作を残しました。その中には、丁儀と刑罰・儀礼について議論した書物、司馬徽と運命歴数について議論した書、先刑後礼の論などがありました。『群書治要』には『劉廙政論』が抜粋されています。


劉廙は、その才能と人柄で多くの人々に影響を与え、魏の初期を支えた重要な人物の一人でした。

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