劉循

劉循の生涯と三国志演義における役割

劉循（りゅう じゅん）は、中国後漢末期の武将であり、特に益州における彼の活動が知られています。彼は荊州江夏郡竟陵県出身で、益州牧である劉璋の長子として生まれました。劉循の家族背景には、彼の妻が龐羲の娘である点も興味深い部分です。

建安18年（213年）、劉循は劉備の猛攻撃を受けた雒城の守備を任されました。彼は城を守り続けることに全力を尽くし、約1年間にわたって抵抗しました。しかし、建安19年（214年）に雒城はついに陥落し、同年内には、劉璋も降伏する事態となります。この際、劉備の部隊が蜀に侵攻してきたことが大きな要因でした。

劉備の支配下に置かれた後、劉璋は荊州の公安県に移動させられますが、劉循は益州に留まることができ、奉車中郎将という地位に任じられました。このことは、彼の政治的な地位を示すものであり、一定の影響力を持っていたことを示しています。

三国志演義での描写

劉循は羅貫中による小説『三国志演義』においても描かれており、彼の活躍は第62回で始まります。小説の中では、彼は史実と同じく、劉備の攻撃から雒城を守る立場にあります。ただし、実際に共に雒城を守っていた張任や劉璝とは異なり、劉循が劉備軍と交戦する描写は見られません。このような描写は、彼の役割が防衛に特化していたことを反映しているのかもしれません。

雒城の防衛戦の中で、守将の一人である張翼が劉璝を殺害した後、劉循は危険を感じて城を逃げ出し、成都へと退却しました。この退却は、彼の忠義心と生存戦略の両方を示す事件となっています。

このように、劉循は雒城の守備やその後の動向を通じて、後漢末期における政治的変動の一端を担った武将と言えるでしょう。彼の物語は、英雄的な抵抗の物語として語られ続けていますが、その背後には複雑な人間関係や権力闘争が潜んでいることを理解することが大切です。

劉循の存在とその運命は、中国の歴史や文学における重要なテーマであり、彼の物語は時を超えて人々に影響を与え続けています。

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