劉敏 (蜀漢)

劉敏（りゅう びん）

劉敏は、中国三国時代の蜀漢に仕えた武将で、字は不明です。本貫は荊州零陵郡泉陵県。

生涯

劉敏の祖先は彭城郡の出身でしたが、曾祖父の劉綽が零陵太守に任じられたことから荊州に移住しました。祖父の劉優は孝廉に挙げられ、後漢の献帝の時代に侍御史となり、御史大夫や尚書右僕射といった要職を歴任しました。また、一族は同じ零陵郡の蔣氏と婚姻を結び、姻戚関係を築きました。

劉敏は若い頃から草書に優れ、20歳頃には外弟の蔣琬と共にその名を知られるようになり、孝廉に推挙されました。蜀漢の劉禅の時代には、侍御史として秩序の維持に尽力し、その名声と実力で朝廷内外から称賛を集めました。

建興9年（231年）、諸葛亮が上奏した李厳の弾劾状において、行右護軍・偏将軍としてその名が記されています。その後、左護軍・揚威将軍に昇進し、王平と共に漢中に駐屯しました。

延熙7年（244年）、魏の曹爽が10万を超える大軍を率いて漢川に侵攻し、先鋒隊は駱谷まで迫ってきました。当時の漢中の守備兵は3万に満たず、「一時的に後退して漢城・楽城に籠り、援軍を待つべき」という意見も出ましたが、王平と劉敏は漢中を固守すべきと主張しました。王平が「劉護軍（劉敏）と杜参軍（杜祺）を興勢山に派遣し、自身は後方の備えに当たる」という策を立てると、劉敏はこれに同意し、即座に行動を開始しました。興勢山に入った劉敏は、100余里に渡って旗や幟を立てて魏軍を牽制し、時間を稼ぎました。その間に費禕の援軍が到着したため、曹爽軍は撤退を余儀なくされました（興勢の役）。この功績により、劉敏は雲亭侯に封じられました。

その後、中書侍郎を加えられ、成都尹に任じられると、その教化は広く行き渡りました。

参考文献

* 盧弼『三国志集解』巻44 蜀書 蔣琬伝附 劉敏伝

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