劉芳 (前趙)

劉芳（りゅう ほう）

劉芳は、前趙の5代皇帝である劉曜の3人目の皇后です。彼女は侍中劉皚の娘として生まれました。生没年は不詳です。

生涯

劉芳は、容姿、人徳、そして才知のいずれにおいても非常に優れていたと伝えられています。彼女は13歳にして身長が七尺八寸（当時の単位で約180cm以上）に達し、膝を過ぎるほど長い腕を持ち、髪の長さも体と同じくらいだったとされています。

326年、劉曜の皇后であった劉氏（献烈皇后）が亡くなる際、劉芳が自身の従妹にあたることから、劉曜に彼女を後宮に入れるよう懇願しました。劉曜はこれを許し、翌327年に劉芳を皇后に立てました。これは、亡き皇后への追慕の念を示すものでもありました。

しかし、329年12月、劉曜は後趙との戦いに敗れ、その後殺害されました。さらに翌年の9月には、劉曜の息子である劉煕と劉胤も敗北し、前趙の将軍や王公、卿校など3000人以上が生け捕られ、皆殺しにされるという悲劇が起こりました。この混乱の中、皇后であった劉芳の生死は不明となっています。彼女がどのように最期を迎えたのか、あるいは生き延びることができたのか、その後の消息は歴史の中に埋もれています。

前趙の滅亡とともに、その皇后であった劉芳の運命もまた、歴史の波に翻弄されたと言えるでしょう。彼女の美貌と才能は、短い間だけ王朝を彩りましたが、戦乱の世においては、それもまた儚いものでした。

伝記資料

劉芳に関する記述は、以下の歴史書に見られます。

『晋書』劉曜載記
『資治通鑑』
* 『十六国春秋』

これらの資料を通して、彼女が生きた時代の政治情勢や、彼女自身の人物像を垣間見ることができます。

もう一度検索