劉辟

劉辟とその運命

劉辟（りゅう へき）は、後漢末期に活躍した中国の武将であり、黄巾党の一員として知られています。彼の生涯は不明瞭な点が多いものの、その行動は歴史の舞台において大きな影響を与えました。

正史における劉辟

劉辟は『三国志』の「魏書」武帝紀に名前が登場します。彼は黄巾の乱が勃発した際の動向についての具体的な記録は残っていませんが、乱が終息した後も、汝南郡や潁川郡において反乱活動を続けていました。この地域で彼は、何儀、黄邵、何曼などと共にゲリラ的な戦いを展開し、討伐軍と頻繁に激闘を繰り広げました。

一定の時期、劉辟は袁紹や孫堅に抵抗しつつ、黄巾を支持する民兵や残党を統率し、反乱を指揮していました。建安元年（196年）2月、劉辟は曹操の追討の際、黄邵と共に討たれたと伝えられています。しかし、彼の名はその後も記録に残っているため、これが誤記である可能性が高いと考えられています。

曹操と袁紹の対立がさらに激化し、官渡の戦いが始まる頃、劉辟は汝南で立ち上がり、反乱に成功を収め、破竹の勢いで地元を荒らしました。許周辺のいくつかの城を陥落させることで、曹操の背後に脅威をもたらしました。この状況を受けて袁紹は劉辟を支援する命を下し、劉備に必要な物資を持たせて、劉辟のもとへ向かわせました。

その後、曹操は自身の背後を脅かす劉辟や汝南の黄巾軍を討伐するため、曹仁を指揮官とした精鋭軍を急派しました。そして、劉辟軍は曹仁の軍勢に撃破され、劉辟も再び劉備の下に逃げ帰ることとなりました。このように、劉辟の記録は『三国志』の中でも場所ごとに異なるため、同時期に同じ名の人物が複数いたのか、それとも誤記であるのかは謎に包まれています。

三国志演義における描写

小説『三国志演義』において、劉辟は黄巾党の衰退後に残党として汝南で龔都とともに騒擾を起こし、討伐に来た曹洪の軍勢を困難に陥れました。彼はその後袁紹に仕官し、官渡の戦いが始まると曹操の背後を攻め込もうとしましたが、そこに関羽が現れます。この状況で劉辟は、劉備の下にいる関羽に敗北し、汝南を奪取したかのように見せかけつつ、すぐに再び失陥しました。

その後、劉辟は劉備を迎え入れ、さらに曹操から離反した関羽や、古城で山賊をしていた張飛などを集め、軍勢を作り上げました。曹操と袁紹が戦っている間を狙い、許都を襲撃しようとしましたが、夏侯惇の攻撃を受けて城を捨て逃げ去ります。敗北後、劉辟は残兵を集め、劉備の元に駆けつけるものの、次第に追い詰められ、自刃しようとしますが、劉備に引き留められ、高覧に一騎討ちを挑むもわずか数合の内に討たれてしまいます。

こうして劉辟の生涯は、多くの謎とともに記憶されており、彼の行動がもたらした影響は大きいと言えるでしょう。彼の存在は時代背景を考える上で欠かせない要素となっています。

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