加来止男

加来 止男の生涯

加来 止男（かく とめお、1893年11月8日 - 1942年6月6日）は、熊本県八代郡松高村出身の海軍軍人です。加来は小学校高学年の頃、日清戦争や日露戦争といった国際的な緊張の影響を受けつつ成長し、海への親近感を抱いていました。熊本県立八代中学校を卒業後、1911年に海軍兵学校に入学します。当初は入学順位が低かったものの、在学中の努力によって卒業時には成績を向上させました。

海軍でのキャリアの始まり

加来は1914年に海軍兵学校を卒業し、さまざまな艦隊勤務を経験しました。その後、1917年からは海軍砲術学校と水雷学校で学び、航空術に移行します。1926年には海軍大学校を卒業し、航空畑でのキャリアを築くこととなります。1938年12月には水上機母艦「千代田」の艦長に就任し、艦上機の運用に携わりました。

太平洋戦争の指揮官として

1941年9月、加来は航空母艦「飛龍」の艦長に任命されます。彼は第二航空戦隊に所属し、蒼龍と共に活動しながら真珠湾攻撃に向けた訓練を行いました。加来は艦の乗組員から信頼を得ており、艦の実力を引き出す組織運営を行いました。1942年6月のミッドウェー海戦において「飛龍」は多大なる活躍を見せますが、艦載機を使い果たし、敵の攻撃を受けてしまいます。最終的に艦は沈没し、加来は生涯を閉じることとなります。

ミッドウェー海戦での運命

ミッドウェー海戦では、艦隊が次々と被弾し、「飛龍」も大破しました。加来は司令官の山口多聞と共に艦に残ることを選び、艦と運命を共にしました。彼の決断は多くの人々に感動を与え、加来の最後の瞬間を際立たせるものとなりました。生存者の中には、彼らが敵艦に拿捕されることを避けるため、自ら沈没を選ぶ決断をしたとの視点もありました。

加来の文学的才能

また、加来は俳句を詠むことでも知られており、艦橋からの夜空を眺めながら月をテーマにした句を多く残しています。彼の文学的感性は、艦の激しい戦闘の中でも彼の内面的な穏やかさを保つ手段でもあったと言えるでしょう。彼の死亡時に浮かんでいたという艦の様子は、彼の詩的な感覚と相まって、人々に深い印象を与えました。

記念碑と遺産

1945年には鎌倉の妙本寺に「海軍少将加来止男君之碑」が建立されましたが、占領下では埋設され、後に故郷八代に移設されました。この碑文には、彼の戦歴や功績が刻まれていますが、当時の政治的な事情から「飛龍」や「ミッドウェー」という言葉は含まれていません。しかし、加来の人となりや戦争の歴史を受け継ぐ重要な記念として、彼の功績は今も多くの人々に語り継がれています。

加来止男の生涯は、一人の軍人としての献身や、文学的な面影を持つ人間としての深い感受性を持つ人物であったことを示しています。彼の名は、現在でも日本の歴史の中で特別な位置を占めています。

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