加治木城

加治木城の歴史

加治木城は、鹿児島県姶良市加治木町反土に位置する日本の城です。その起源は古く、地元の豪族である大蔵氏によって築かれたと伝えられていますが、正確な築城年や当時の規模は不明です。この城は、戦国時代から江戸時代初期にかけて、地域の歴史に深く関わってきました。

加治木氏の興隆と衰退

平安時代中期、大蔵氏の当主であった大蔵良長には男子がおらず、娘婿として藤原経平を迎えます。この経平が加治木氏を名乗り、この地に土着しました。加治木氏は鎌倉時代には御家人として元寇の撃退に貢献し、その勢力を拡大させました。しかし、南北朝時代には一族が分裂し、室町時代には島津氏の配下となります。

戦国時代の動乱

15世紀末、加治木氏は島津氏に対して反乱を起こしますが、鎮圧され、阿多へと移されます。その後、加治木城は伊地知氏の領有を経て、肝付氏の分家が城主となります。16世紀中頃には、肝付兼演が島津貴久に味方したため、菱刈氏や蒲生氏などの攻撃を受けます。しかし、兼演は加治木城に籠城して耐え抜き、島津氏の支援もあって撃退に成功しました。

鉄砲の導入と島津氏の支配

加治木城は、日本で初めて鉄砲が実戦で使用された場所の一つとして知られています。1549年、島津氏の家臣が種子島から贈られた鉄砲を用いて加治木を攻撃しました。この出来事は、後に鉄砲が全国に広まるきっかけとなりました。その後、肝付氏は島津氏に降伏し、加治木城をさらに発展させましたが、1595年の太閤検地によって移住を余儀なくされました。

島津義弘の移住と加治木館

1599年、加治木は島津氏に返還され、1607年には島津義弘がこの地に移住します。義弘は当初加治木城を改築する予定でしたが、最終的には麓に館を築いて住むことになりました。この館は「後詰めの城」となり、加治木城は実質的に廃城となりました。義弘は館で生涯を終え、その後、子の島津家久によって西の丸が増築されました。

加治木島津家の居所

1631年、加治木館は島津忠朗に与えられ、その後は加治木島津家の居所となりました。明治時代以降、館の跡地は学校として利用されています。

現在の加治木城と加治木館

現在、加治木城跡には中世当時の土塁や空堀が残っていると言われていますが、一部は立ち入りが制限されています。麓には縄張り図が描かれた案内板が設置されています。一方、加治木館跡は、「中の丸」と「東の丸」が鹿児島県立加治木高等学校、「西の丸」が加治木町立柁城小学校となっています。これらの場所には、江戸時代末期に積み直された石垣が残っており、「加治木島津屋形跡」として姶良市の史跡に指定されています。

加治木城は、その長い歴史の中で多くの出来事を見守り、地域の変遷を象徴する存在です。現在では、その一部が教育施設や史跡として活用され、歴史を伝える重要な場所となっています。

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