藤原経平

藤原経平（ふじわら の つねひら）

藤原経平は、平安時代中期から後期にかけて活躍した貴族で、藤原北家小野宮流の流れを汲みます。父は権中納言を務めた藤原経通です。最終的な官位は従三位・前大宰大弐。

経歴

後一条天皇の時代に、諸陵助や図書助といった役職を経て、従五位下・刑部少輔に叙任されました。長元9年（1036年）には、円教寺で侍従・藤原良貞と喧嘩沙汰を起こし、殿上人としての資格を一時的に失っています。

その後、越前守、尾張守、播磨守といった地方官を、後朱雀天皇の時代から白河天皇の時代初期にかけて長く務めました。承保2年（1075年）には大宰大弐に任命されています。

承暦元年（1077年）には、宋の商人である孫忠に、神宗への信書と返信物を託した際、禁制品である武器を含む私的な贈り物を積荷に含ませました。承暦2年（1078年）に孫忠が再び来日し、宋からの返礼品を運んできましたが、添付されていた文書に不審な点が見つかりました。孫忠は経平と後任の大宰帥・藤原資仲から事情聴取を受け、承暦4年（1080年）には、返礼品への対応について朝廷で審議が行われました。この際、孫忠は、経平とその家来が唐物を代金を支払わずに奪ったこと、そして前述の私的な贈り物の件を告発したため、この件についても審議されることとなりました。最終的に経平は不問とされましたが、大宰府での功績により従三位に叙せられ公卿に列するのは、応徳3年（1086年）まで遅れることとなりました。

その後は官職を持たない散位となり、寛治5年（1091年）7月3日に78歳で亡くなりました。

後年、娘の藤原睦子が産んだ藤原苡子が鳥羽天皇の生母となったため、経平は天皇の曾祖父にあたります。

官歴

長元4年（1031年）3月28日：図書助、元諸陵助
時期不詳：従五位下
長元7年（1034年）10月21日：見刑部少輔
長元9年（1036年）10月21日：除籍殿上
長久元年（1040年）6月10日：見越前守
延久2年（1070年）7月：見前尾張前司
承保2年（1075年）正月28日：見播磨守。6月13日：見大宰大弐
永保3年（1083年）10月1日：正四位上
応徳3年（1086年）3月2日：従三位（去年大弐赴任賞）
寛治5年（1091年）7月3日：薨去（前大宰大弐従三位）

系譜

父：藤原経通
母：源高雅の娘（醍醐源氏出身）
妻：高階成順の娘（筑前乳母）
長男：藤原通宗（?-1084）
妻：藤原家業の娘
次男：藤原通俊（1047-1099） - 養子、実母は筑前乳母
生母不明
女子：藤原睦子 - 藤原実季室
女子：藤原顕季室
女子：藤原経子 - 白河天皇典侍、覚行法親王母、のち藤原公定室

参考文献

『公卿補任 第一篇』吉川弘文館、1982年
『尊卑分脈 第二篇』吉川弘文館、1987年
宮崎康充編『国司補任 第四 第五』続群書類従完成会、1990年
渡邊誠『王朝貴族と外交』吉川弘文館歴史文化ライブラリー, 2023年

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