加藤於兎丸

加藤於兎丸（かとう おとまる）

加藤於兎丸は、1896年7月19日に生まれ、1983年8月11日に没した、日本の内務・厚生官僚、実業家であり、官選県知事も務めた人物です。彼の生涯は、激動の時代を背景に、地方行政、戦時体制、そして戦後の復興と、多岐にわたる分野での活躍に彩られています。

生い立ちと学歴

加藤於兎丸は、岐阜県益田郡下原村（現在の岐阜県下呂市）で、代々続く名主の家系に生まれました。万延元年遣米使節随行員の加藤素毛は、父の従兄にあたります。第一高等学校を経て、1921年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業しました。1920年には高等試験行政科試験に合格しており、官僚としての道を歩み始める準備を整えていました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、加藤は内務省に入省し、衛生局に配属されます。その後、山口県、栃木県、大阪府、京都府、岡山県などの地方勤務を経て、内務省地方局地方債課長、行政課長、大臣官房会計課長などを歴任しました。この間、地方行政に関する深い知識と経験を培い、その手腕を発揮しました。

1939年4月には佐賀県知事に就任。同年7月には佐賀県を襲った深刻な旱魃（かんばつ）への対応に尽力しました。1940年4月には厚生省衛生局長に転任し、中央官庁での要職を務めました。1942年10月には宮城県知事に就任し、戦時下の行政運営に携わりました。1943年7月に知事を退任し、広島県参事官に就任しますが、同年に退官。その後、大政翼賛会団体局長となります。戦後、公職追放となり、官界を一時的に離れることとなりました。

実業家としての活動

公職追放解除後、加藤は実業界に転身し、大同コンクリート工業の社長、取締役相談役を務めました。官僚時代に培った経験と人脈を生かし、企業経営においてもその手腕を発揮しました。

著作・伝記

加藤は、地方制度に関する著作も残しています。『地方制度の改正に就て』（1935年）、『地方行政 下』（1936年）は、当時の地方行政に関わる人々に広く読まれました。また、彼の生涯を振り返る伝記として『加藤於兎丸翁追悼記念誌』（1985年）が刊行されています。

栄典

1940年8月15日には、紀元二千六百年祝典記念章を受章しています。

参考文献

加藤於兎丸に関する研究や記述は、以下の文献で確認できます。

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』(1991年)
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』(2001年)
日外アソシエーツ編『ジャパン WHO was WHO 物故者事典 1983-1987』(1988年)
金山町誌編纂委員会編『金山町誌』(1975年)

関連事項

加藤於兎丸が知事を務めた佐賀県に関する情報として、佐賀県知事一覧（官選知事）も参照できます。


加藤於兎丸は、激動の時代を駆け抜けた官僚、実業家として、その足跡を日本の歴史に刻んでいます。

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