労働党 (韓国)

韓国労働党：進歩系政党の歩みと理念

韓国の進歩系政党である労働党は、2008年3月、民主労働党からの離党者を中心に結成された進歩新党を前身としています。当初は「平等」「生態」「平和」「連帯」を党是に掲げ、民主労働党の親北朝鮮路線への批判を背景に誕生しました。しかし、その歩みは決して平坦ではありませんでした。

設立から解党、再結成まで

2007年の大統領選挙で民主労働党が敗北を喫したことを契機に、党内は親北路線を支持する「自主派」と、これに反対する「平等派」に分裂。平等派の離党が相次ぎ、魯会燦、沈相奵両議員らが中心となって進歩新党を結成しました。しかし、2008年の総選挙では議席獲得に失敗。その後、国会議員再選挙で議席を獲得するも、2010年の地方選挙では、選挙連合からの離脱など、混乱を招きました。

2011年には、民主労働党との統合が模索されましたが、北朝鮮問題などでの意見対立が解消できず、最終的には統合は実現しませんでした。この過程で党内対立が激化し、党代表の交代や主要メンバーの離党が相次ぎ、2012年の総選挙では議席を獲得できず、解党を余儀なくされました。しかし、その後「進歩新党連帯会議」として再結成を果たしました。

労働党への党名変更とその後

2013年、党名を「労働党」に変更。緑色社会主義を党の核心路線として掲げ、2014年の地方選挙では、広域議会1名、基礎議会6名の当選にとどまりました。2015年には代表が交代しましたが、進歩勢力結集を巡る党内対立が再燃し、再び代表が交代。2016年の総選挙でも議席獲得はなりませんでした。

労働党の綱領と政策

労働党の綱領は、「生態主義、女性主義、平和主義、少数者運動と結びついた社会主義」を理念としています。「徹底的な民主主義の原則により、生産手段を社会的に所有・運営する新しい社会を建設する」ことを目指しています。具体的な政策としては、以下の様なものがあります。

代議制民主主義の実質的な民主化、地域社会と労働現場からの連帯と協同の推進
政府の構造・機能の再編、国家官僚機構の民衆による民主的統制
南北朝鮮の両体制の止揚を目指す進歩的統一、恒久的な韓半島平和体制の構築
強大国中心の国際秩序の克服、緑の平和外交による国際連帯
反人権悪法の撤廃、司法の民主化、市民の権利保障
新自由主義的資本主義からの転換、生態的持続可能性を保障する経済体制への移行
普遍的福祉の拡大、教育・医療・住居などの基本権保障
学歴社会の打破、公教育の拡大
労働基本権の完全保障、労働者間の差別撤廃
小農と家族農中心の生態農業の復元
土建国家の解体、緑の転換の推進、原子力発電と核兵器の撤廃
女性の自己決定権の保障、女性主義的価値観の実装
性的少数者への差別撤廃、性的指向・性自認の尊重
移住労働者などへの権利保障
障害者差別撤廃、同等の日常活動と完全参加の権利保障
年齢・世代による差別・不平等排除、児童・青少年・高齢者の権利保障
労働時間短縮、文化活動の促進、文化芸術人の権利保障
言論の公共性維持、表現の自由保障、知識ネットワーク社会の進歩的可能性実現
* 科学技術開発への大衆参加、知識財産権の社会化

対日関係

労働党の前代表である洪世和は、日韓両国のナショナリズムを批判し、韓国人労働者の人権問題から取り組むべきだと主張しました。

まとめ

労働党は、韓国の進歩系勢力の中で、社会主義的理念に基づいた独自の政策を追求する政党です。その歴史は、党内対立や選挙における苦戦など、様々な困難を経験しながらも、持続可能な社会の実現を目指して活動を続けています。 今後の動向に注目が必要です。

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