水谷長三郎

水谷長三郎について

水谷長三郎（みずたに ちょうざぶろう）は、1897年11月4日に京都府で生まれ、1960年12月17日に亡くなった日本の政治家、弁護士、そして労働運動家です。彼は大正時代から昭和時代にかけて活躍し、片山内閣や芦田内閣では商工大臣を務めました。愛称は「水長（みずちょう）」で親しまれました。

早年の経歴

水谷は京都帝国大学法学部を1921年に卒業し、在学中には友愛会に参加していました。この団体で河上肇というマルクス経済学者と知り合い、社会科学研究グループ「労学会」を結成しました。卒業後は弁護士としてのキャリアをスタートし、同時にマルクス主義に傾倒していきました。

1926年には普通選挙法が施行され、これにより25歳以上の成人男子に普通選挙権が与えられました。その後、1928年に行われた第16回衆議院議員総選挙では、無産政党の一つである労働農民党から出馬し当選。日本における社会主義政党の初代議員の一人となりました。

政治活動と対立

彼は同年の4月に東京駅で右翼集団に襲撃を受ける事件にも遭遇します。この頃、水谷は反共的な立場を強めていく一方で、同じく当選した山本宣治とは意見を異にし、対立が生じました。水谷は三・一五事件の弁護を依頼された際、事件の被告に対して否定的だったため、その依頼を断ります。

治安維持法の改正に反対する姿勢を貫いたものの、彼は法の存在意義そのものは認めていたため、共産主義者たちからは「階級的裏切り者」と酷評されました。それでも、彼の見解には生じた懸念が正しいとされる意見も後に出ていました。山本が襲撃された後、彼は葬儀にも参列しましたが、その際の彼の存在は一部の記録に無視されたことがあります。

後の経歴

水谷は1929年に労農党を離党し、労農大衆党を結党。その後も全国大衆党や社会大衆党で活動を続けました。1940年、彼は斎藤隆夫の反軍演説に賛同する形で議会を欠席し、その結果、社会大衆党から除名されます。

戦後は日本社会党の結成に関与し、中央執行委員に選出されましたが、再建された共産党とも一時的に接触を持つなど、状況は流動的でした。1947年には片山内閣の商工大臣に任命され、炭鉱の国有化を進めるなどの成果を上げました。彼は翌年の芦田内閣でも商工大臣を続け、政策通としての地位を確立します。

1960年1月、彼はついに民主社会党（のちの民社党）の結成に参与し、その国会議員団長に就任しましたが、同年の12月に63歳で逝去しました。彼の墓は金戒光明寺に位置しています。

水谷長三郎の活動は、当時の日本の政治や労働運動に多大な影響を与え、その業績は今に至るまで評価されています。

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