勇払ガス田

勇払ガス田

勇払ガス田は、北海道苫小牧市に位置する重要なガス田です。石油資源開発株式会社（JAPEX）によって開発が進められ、天然ガスと原油が生産されています（勇払油ガス田）。

生産・供給の状況

1989年に南勇払で商業規模の天然ガスが発見されたことが、開発の契機となりました。1994年には、石油資源開発株式会社が本格的な開発を開始し、生産設備の建設と並行して、苫小牧市から北広島市を結ぶパイプライン輸送路の建設に着手しました（2005年には小樽市まで延伸）。

1996年からは、北海道ガス（北ガス）を中心に、札幌市および周辺都市への天然ガス供給を開始しました。その後、LNG（液化天然ガス）の生産能力を増強し、苫小牧貨物駅からの鉄道輸送によって、旭川ガス（旭川市・北旭川駅）への供給も開始しました。

2007年には、LNGの生産能力を年間3万トンから7万トンへと増強。苫小牧駅の施設も増強し、鉄道輸送によって帯広ガス（帯広市・帯広貨物駅）、釧路ガス（釧路市・新富士駅）向けの供給も開始しました。また、岩見沢ガスのLNG転換に伴い、ローリー車による供給も開始されました。

2009年には、北ガス北見地区のLNG転換に伴い、鉄道輸送による北見（北見市・北見駅）への供給が開始されました。また、室蘭ガスのLNG転換に伴い、ローリー車による供給も開始されました。

2011年には、石狩湾新港にLNG受入基地が完成しました。これにより、海外や東京ガス袖ケ浦LNG基地からのLNGの移入だけでなく、パイプラインを通じて勇払ガス田から天然ガスを移出することも可能になりました。

2012年には、井戸から大量の水が出る事態が相次ぎ、生産量が4割減少したことが報道されました。石油資源開発株式会社は、ガス田の枯渇は否定しましたが、この影響により、2012年3月期の連結最終損益予想が従来の黒字から赤字に修正され、設立以来初の損失計上となる見込みとなりました。

2020年には、2017年6月から試みられていた滝ノ上層の利用が実を結び、2020年6月より原油の商業生産が開始されました。

ガス滞留層

地下5,000メートル付近の大深度に広がる花崗岩および礫岩層内のフラクチャー構造（き裂が入った構造体）に天然ガスが貯留されています。このような大深度の火山岩貯留層は、新潟県長岡市の南長岡ガス田など、国内でも数少ない事例です。

まとめ

勇払ガス田は、北海道におけるエネルギー供給の重要な拠点であり、天然ガスと原油の安定供給に貢献しています。様々な困難を乗り越えながら、新たな技術導入や供給先の拡大を続け、地域経済の発展に寄与しています。

外部リンク

勇払油ガス田 - 北海道新聞
国内最大級 苫小牧の勇払油ガス田 - 北海道天然ガス利用促進協議会
* 北海道内油ガス田 - 石油資源開発株式会社

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