勝山城 (長門国)

勝山城と勝山御殿：歴史と自然が織りなす史跡

山口県下関市に位置する勝山は、かつて勝山城が築かれた戦略的な要所でした。山頂には城郭が築かれ、麓には長府藩の居館である勝山御殿が設けられ、歴史の舞台として重要な役割を果たしました。

勝山城：山頂に築かれた要塞

勝山城は、標高400メートルの勝山山頂に築かれた連郭式の山城です。築城年代は定かではありませんが、1378年に大内氏の家臣である永富嗣光によって築かれたという説があります。1521年には、大内氏の重臣である内藤興盛が九州への備えとして入城しました。

1527年、近隣の青山城主である高森正倫との間で争いが勃発します。高森氏は12,000の兵で勝山城を包囲しましたが、大内氏の援軍を得た内藤氏は35,000の兵力でこれを迎え撃ちました。内藤勢は反撃に転じ、青山城を攻め落としました（勝山青山の戦い）。

1555年の厳島の戦いで勝利した毛利元就が周防・長門へ侵攻すると、1557年に大内義長は本拠地の山口高嶺城を捨てて勝山城に籠城し、毛利軍と戦いました。元就は勝山城を包囲し、内藤隆世の自刃と引き換えに義長の脱出を認めました。しかし、義長は長福寺（功山寺）へ逃れた後、毛利氏によって自害に追い込まれました。

勝山城は、その標高と地形を利用した天然の要害であり、山頂尾根には十数段の郭が設けられていました。現在もその一部が残っています。

勝山御殿：幕末の長府藩主居館

幕末、勝山の麓には長府藩主の居館である勝山御殿が築かれました。これは、1863年に長州藩が関門海峡を通過する外国船への砲撃を開始したことに対抗し、長府藩邸を内陸に移すために建設されたものです。

1863年6月から翌年にかけての突貫工事で勝山御殿が完成し、1864年2月には長府藩主の居城となりました。しかし、明治時代に入ると解体され、建材の一部は長府の覚苑寺に移築されました。

勝山御殿は、勝山と四王司山の南麓に位置する谷間に築かれた連郭式の構造で、本丸、二の丸、三の丸から構成されていました。本丸は南北二つの区画に分かれ、北側は藩主の家族が住む奥の院、南側は藩主が公務を行う表となっていました。三の丸には大手門があり、横矢枡形が設けられていました。

砲撃を防ぐために櫓は建てられず、石垣の上に土塁を設けるなど、砲撃戦を意識した構造が特徴的でした。これは、近世城郭と幕末の台場の構造を組み合わせた、近世最終期の城郭と言えます。

2009年までに勝山地区公園として整備され、曲輪や石垣が保存されています。2019年には「勝山御殿跡」として国の史跡に指定されました。

周辺の史跡とハイキングコース

勝山御殿跡の周辺には、青山城跡や四王司山などがあり、勝山三山としてハイキングコースが整備されています。青山城は、勝山青山の戦いの舞台となった城であり、現在も曲輪や石垣などが残っています。

勝山は、歴史的な遺産と豊かな自然が融合した魅力的な場所です。史跡を巡りながら、ハイキングを楽しむことができます。

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