内藤隆世

内藤隆世

内藤隆世（ないとう たかよ）は、日本の戦国時代の武将。守護大名である大内氏の家老であり、内藤氏の当主として知られています。彼は大内義長に最後まで忠誠を誓い、長門守護代という重要な役職を務めました。

生涯

家督相続

父である内藤隆時が早くに亡くなったため、天文20年（1551年）に、義兄である陶隆房（後の晴賢）が大内義隆に対して起こした謀反（大寧寺の変）の直後、祖父である興盛が隠居したことを受けて家督を相続しました。その後、大寧寺の変で大内義隆が討たれ、大友氏から迎えられた大内義長の元で、実権を握る陶晴賢と共に大内家の重臣として活躍しました。

晴賢敗死後の混迷

弘治元年（1555年）の厳島の戦いには参加しませんでした。この戦いで陶晴賢が毛利元就によって討たれると、大内氏は大きく動揺します。そのような状況の中、以前に陶晴賢によって誅殺されていた杉重矩の子である重輔が突如挙兵し、陶氏の居城である富田若山城を攻撃し、晴賢の子である長房を討ち滅ぼすという事件が起こりました。

陶晴賢の義弟であった隆世は、この事態を知ると、大内義長の制止を振り切って陶氏の旧臣たちの求めに応じ、翌弘治2年（1556年）に出陣しました。山口市街が灰燼に帰すほどの激戦の末、杉重輔を討ち滅ぼしました。しかし、この内紛は大内氏の弱体化を招き、家中をさらに混乱させる結果となりました。また、内藤氏の内部でも、叔母である尾崎局が毛利隆元の正室であったことから、親陶氏の隆世派と親毛利氏の叔父である隆春派に分裂してしまいます。

一方、毛利氏は大内氏の混乱に乗じて周防に勢力を拡大していきます（防長経略）。各地で国人たちによる激しい抵抗を受けますが、弘治3年（1557年）には1年間にも及ぶ攻防を繰り広げた沼城が陥落し、城主である山崎興盛は自刃。大内氏の衰退は誰の目にも明らかとなりました。このような状況下で、隆世は大内義長に進言し、高嶺城の築城や大内館の堀を拡張するなど、毛利氏の侵攻を防ぐための対策に尽力しますが、家臣たちの内応が相次ぎ、山口を維持することが困難になっていきます。

最期

山口を維持できなくなった隆世は、大内義長と共に高嶺城を脱出し、長門の内藤氏の居城である勝山城に入って抵抗を試みます。毛利軍も長門へと進軍しますが、勝山城は堅固であり、なかなか落城しません。そこで、毛利元就は家臣の福原貞俊に命じ、隆世が切腹し開城すれば、大内義長の命を助けるという条件で降伏を勧告させました。隆世はこの条件を受け入れ、4月2日、毛利側の検使によって自刃し、勝山城は開城しました。

その後、大内義長と陶晴賢の孫である鶴寿丸は、長府の長福寺（現在の功山寺）に入りましたが、毛利軍が寺を包囲し、翌3日、義長は自害を強いられ、大内氏は滅亡しました。そして、鶴寿丸はお守り役によって刺殺されました。

隆世の死によって、内藤氏の嫡流は途絶えましたが、叔父である隆春が毛利家に降伏したため、内藤家は毛利家の家臣として存続することとなりました。

内藤隆世は、激動の時代に翻弄されながらも、主君である大内義長に忠義を尽くした悲劇の武将として、その名を知られています。

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