勿来市

勿来市の歴史と背景

勿来市（なこそし）は福島県浜通りの地域に位置していた市で、1966年に他の市町村と合併し、新たにいわき市として誕生しました。現在はこのいわき市の勿来地区として知られていますが、かつての独自の歴史を持っています。

律令時代の概要

現在のいわき市勿来地区は、かつて「菊多」という名で呼ばれていました。7世紀前半には道奥菊多国造の領土であり、国造時代の重要な地であったのです。その後、律令制が導入され、菊多郡として整備されました。北側には石城国造、南側には高国造が広がっており、これらは7世紀中期に統合され多珂国と呼ばれるようになりました。

7世紀後半には、多珂国は常陸国に編入され、以後はその一部として地名や行政が変化しました。718年には一時石城国に戻りますが、720年代には陸奥国に組み込まれています。この時、多賀郡と菊多郡の境界に建立された関所が「菊多関」であり、これが後に「勿来関」へと名称を変えました。「勿来」という名は「来るな」という意味を持ち、これは南からの蝦夷の侵入を防ぐ意図があったと言われています。

特にこの辺りは、難所であったため武士たちから重視されており、源義家もこの地を訪れた記録があります。また、今日でも国道6号に「勿来検問所」が設置されており、その名称は歴史を反映したものです。

平安時代からの変遷

平安時代から戦国時代までの期間、勿来地区は岩城氏の南端に位置し、戦国時代には勿来関を境にして北側が岩城氏、南側が佐竹氏の領土という複雑な情勢がありました。江戸時代には、再び境目が変わり、勿来関を境に北側は磐城平藩、南側は水戸藩が治めることになりました。

戊辰戦争とその後

1868年の戊辰戦争では、勿来断崖近くの平潟港で磐城平藩と明治政府軍が激突しました。この戦闘を経て、陸奥国の分割が行われ、勿来地区は磐城国の一部となりました。1871年の廃藩置県により平県、その後磐前県に所属し、最終的には福島県に編入されることになります。

近代では常磐炭田の開発が進み、工業都市として発展していきました。1935年には昭和人絹の操業も始まり、工業の面でも重要な役割を果たすように。

第二次世界大戦と戦後の発展

第二次世界大戦中は、海岸線から風船爆弾の放球が行われるなど、特異な歴史を有します。戦後の1955年4月29日には石城郡の町や村が合併し、勿来市が誕生しました。その後、1966年には磐城市や内郷市などと合併し、いわき市の一部となりました。

現在も、勿来市の名残は市役所や地域のインフラに見ることができ、文化的な背景を有しています。また、常磐炭田から得られた石炭を利用した勿来火力発電所も、地域の電力供給に重要な役割を果たしています。

まとめ

このように、勿来市はその歴史的な背景から、地域の文化や経済の基盤を形成してきました。現在のいわき市としても、その歴史とともに発展し続けています。こちらの地区に関心をもって訪れることは、福島県の歴史を深く理解する手助けとなるでしょう。

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