石城国

石城国（いわきのくに）とは

石城国は、奈良時代に現在の福島県浜通り地方とその延長にある宮城県亘理郡に存在した、短命な令制国です。718年に陸奥国から分立しましたが、数年後には再び陸奥国に統合されました。

歴史

718年5月2日、陸奥国から石城郡、標葉郡、行方郡、宇太郡、曰理郡の5郡と、常陸国から菊多郡を割いて石城国が設置されました。同時に石背国も新設され、この時、陸奥国は三分されることになりました。石城国の領域は、現在の福島県浜通り地方と宮城県亘理郡に限られ、阿武隈山地を越えた盆地は含まれていません。これは、戊辰戦争後に成立した磐城国とは大きく異なる点です。

歴史学者の鐘江宏之氏は、石城国が菊多郡を編入したことや、太平洋沿岸に位置しているという地理的条件から、東山道ではなく、東海道に所属していたという説を提唱しています。この見解は、当時の行政区分のあり方を考える上で重要な視点を提供しています。

石城国は、720年から724年の間に陸奥国に再び統合されました。720年11月26日には、陸奥、石背、石城を対象にした勅が出されており、この時点まで石城国が存在していたことは確実です。また、724年3月25日には、陸奥国の大掾が殺害された事件が記録されており、大掾は国司の中でも大国にのみ置かれる役職であることから、この時までに石城国と陸奥国が合併していたと推測されています。さらに、728年4月11日には陸奥国に白河軍団が設置されたという記録があり、石背国に属していた白河郡が陸奥国に編入されたことは、石背国が廃止されたことを示す証拠となります。これらのことから、石城国も石背国と同時期に廃止されたと考えられます。

国府の所在地

石城国の国府は、夏井川下流に位置していたと考えられています。具体的な場所としては、大国魂神社付近（現在のいわき市平菅波）や、根岸遺跡付近（現在のいわき市平下大越）が候補として挙げられています。

地域構成

石城国は以下の6つの郡で構成されていました。

菊多郡
石城郡
標葉郡
行方郡
宇太郡
曰理郡

まとめ

石城国は、奈良時代という古代に短期間存在した令制国であり、その歴史は不明な点も多く残されています。しかし、その存在は、当時の地方行政や、陸奥国の歴史を理解する上で重要な要素となっています。その短い存続期間にもかかわらず、石城国は古代日本の歴史において、重要な役割を果たしていたと言えるでしょう。

参考文献

青木和夫・稲岡耕二・笹山晴生・白藤禮幸校注『続日本紀』二（新日本古典文学大系13）、岩波書店、1990年。
工藤雅樹『城柵と蝦夷』、（考古学ライブラリー51）、ニュー・サイエンス社、1989年。
高橋崇『律令国家東北史の研究』、吉川弘文館、1991年、ISBN 4-642-02245-7。

関連項目

令制国一覧
磐城国 - 戊辰戦争後の令制国
浜通り#歴史
常陸国
陸奥国

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