北原幸男

北原幸男は、1957年8月29日に東京都で生まれた、日本を代表する指揮者の一人です。父は都山流尺八奏者として知られる北原篁山であり、音楽一家に育ちました。

北原氏は、指揮者としての道を志し、尾高忠明、秋山和慶、小澤征爾、C.ブジャーヌ、W.ピーチニクといった著名な指揮者に師事しました。桐朋学園大学を卒業後、NHK交響楽団の指揮研究員となり、さらにタングルウッド音楽祭で小澤征爾やレナード・バーンスタインの指導を受けるなど、研鑽を積みました。

1985年、北原氏はプラハの春国際音楽コンクールで第3位に入賞し、その才能を世界に示しました。同年には、オーストリアのインスブルック州立歌劇場の専属指揮者に就任し、1992年まで務めました。

国内では、1986年に札幌交響楽団の定期演奏会に登場して以来、NHK交響楽団の定期演奏会をはじめ、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、東京都交響楽団など、日本各地の主要なオーケストラに客演しています。

1992年には、ドイツのアーヘン市立歌劇場および同管弦楽団の常任指揮者に就任し、その手腕を発揮しました。同年には、NHK交響楽団定期公演で指揮したショスタコーヴィチの交響曲第11番のCDをリリースし、高い評価を得ました。1993年には、アーヘン市立歌劇場の音楽総監督に就任しましたが、1996年に退任。その後も、ヨーロッパを中心に活動を続け、同年にはグローバル音楽奨励賞を受賞しました。

教育者としての活動も活発で、2003年に武蔵野音楽大学の講師に就任し、2004年に助教授、2007年に教授となりました。現在も同大学で教鞭を執るほか、エリザベト音楽大学、創造学園大学などでも後進の指導にあたっています。また、2008年には、宮内庁式部職楽部の指揮者に就任し、日本の伝統音楽の継承にも貢献しています。

これまでに、ハノーヴァー、キール、ダルムシュタット、プラハなどのオペラハウス、リンツ・ブルックナー管弦楽団、北ドイツ放送交響楽団、プラハ放送交響楽団、ブダペスト交響楽団、ブカレスト・フィルハーモニー、北イスラエル交響楽団など、数多くのオーケストラに客演しています。オペラ公演では、新国立劇場やびわ湖ホールにも登場しています。特に、交響曲ではショスタコーヴィチ、オペラを得意としています。

2012年には、日本合唱協会の首席指揮者に就任し、合唱音楽の分野でも活躍しています。現在は、埼玉県富士見市の文化芸術アドバイザーも務め、地域文化の振興にも尽力しています。

北原幸男は、その卓越した音楽性と情熱的な指揮で、国内外の聴衆を魅了し続けている、現代を代表する指揮者の一人です。

もう一度検索