冨士御室浅間神社

概要

冨士御室浅間神社は、山梨県南都留郡富士[[河口湖町]]に位置する神社です。かつては小室浅間明神と呼ばれ、富士山最古の神社として知られています。全国に数ある浅間神社の中でも特に歴史が古く、富士山信仰の中心地として重要な役割を果たしてきました。この神社は、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として、ユネスコの世界文化遺産にも登録されています。

境内は、かつて本宮があった富士山二合目の奥宮（本宮跡地）と、河口湖畔に位置する里宮の二つに分かれています。奥宮は富士吉田市内にありますが、富士[[河口湖町]]の飛び地となっており、地理的にも特殊な位置にあります。この地は、富士山に最初に神様が祀られた場所とされています。里宮は、1973年に本宮が移築された場所で、現在は本宮と隣接して建てられています。

また、里宮の右側には勝山民俗資料館があり、この地域一帯の歴史や文化に関する展示が行われています。

歴史

冨士御室浅間神社の創建は、文武天皇3年（699年）に藤原義忠によって行われたと伝えられています。社名の「御室」は、かつて祭祀が石柱で囲まれた場所で行われていたことに由来します。天徳2年（958年）には、村上天皇の命により、氏子の便宜を図るため河口湖の南岸に里宮が創建されました。中世には修験道、近世には富士講といった富士山信仰と結びつき、発展を遂げました。

戦国時代には、甲斐の武田氏からの崇敬を受け、現在の社殿は1889年（明治22年）に再建されたものです。現在の本宮本殿は、慶長17年（1612年）に徳川家の家臣である鳥居成次によって建てられ、その後4回の大改修を経て、1973年に富士山二合目から里宮の隣接地に移築されました。この本殿は、一間社入母屋造り、向拝唐破風造りで、屋根は檜皮葺形銅板葺きという桃山時代の特徴を備えており、国の重要文化財に指定されています。

明治時代に入り、神社は「小室浅間神社」から現在の「冨士御室浅間神社」に改称しました。一方、富士吉田市にある「冨士山下宮浅間神社」と「阿曽谷宮守神社」は、それぞれ「小室浅間神社」に改称しました。1925年（大正14年）に県社に列格し、1971年（昭和46年）には別表神社に列せられました。

戦国時代、別当を務めていた小佐野越後守は、小山田氏より境内の尊厳を保護され、様々な特権を与えられました。また、武田氏からは他の浅間神社の管轄を任されていました。なお、小佐野越後守は個人名ではなく、代々受け継がれる名前です。

祭事

流鏑馬

4月29日には、流鏑馬の神事が行われます。この神事は、天慶3年（940年）に藤原秀郷が平将門の乱を鎮定した帰りに、戦勝を祝って御礼祭を行い、流鏑馬を奉納したのが始まりとされています。かつては吉田口登山道の中の茶屋近くの馬場で行われ、近隣の村々が共同で奉納していましたが、その主導権を巡って争いが激化したため、享禄3年（1530年）に武田氏の家臣、板垣信方の取り計らいで各村がそれぞれ奉納するようになりました。

1875年（明治8年）以降、流鏑馬は中断されましたが、その後、再開と休止を繰り返した後、1899年（明治32年）に途絶えました。例祭は9月9日に芝座祭として、神輿渡御を中心とする祭りに変わりました。現在では、1980年（昭和55年）より鎌倉鶴岡八幡宮の武田流流鏑馬を招き、シッコゴ公園で流鏑馬が奉納されています。

文化財

重要文化財（国指定）

本宮本殿：1973年（昭和48年）に富士二合目から移築された本殿。入母屋造、銅板葺き。慶長17年（1612年）の建立とされています。

山梨県指定有形文化財

勝山記：河口湖地方の僧侶らによって、文正元年（1466年）から永禄6年（1563年）まで書き綴られた年代記の写本。この写本は、複数の系統がある中でも最も原形に近いと考えられています。
安産祈願状：弘治3年（1557年）に武田晴信（信玄）によって奉納された願文。長女の安産を祈願したもので、祈願が成就した際には関所を廃止すると記されています。また、同時期に信玄は他の願文も奉納し、街道の便宜を図ったと考えられています。

史跡

富士山：国の史跡「富士山」に包括されています。

現地情報

所在地：
奥宮（旧本宮）：山梨県南都留郡富士[[河口湖町]]勝山（富士山二合目）
里宮・現本宮：山梨県南都留郡富士[[河口湖町]]勝山3951番地

参考文献

西川広平「武田信玄の願文奉納をめぐって-宗教政策の一側面-」『新編武田信玄のすべて』

外部リンク

冨士御室浅間神社（公式サイト）
冨士御室浅間神社（勝山観光協会・勝山民宿組合ホームページ）

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