北府中駅

北府中駅：歴史と現状を紐解く武蔵野線の駅

北府中駅は、東京都府中市晴見町に位置するJR東日本武蔵野線の駅です(駅番号:JM 34)。武蔵野線沿線の中でも歴史深く、その変遷は日本の鉄道史と深く関わっています。単なる駅としてだけでなく、周辺地域の発展や産業の歴史を語る上で重要な役割を担ってきたと言えるでしょう。

複雑な歴史：東京砂利鉄道から武蔵野線へ

北府中駅の起源は、1910年に開業した東京砂利鉄道の専用鉄道に遡ります。国分寺駅から多摩川沿いの下河原駅までを結ぶこの路線は、その後鉄道省に買収され、中央本線貨物支線（通称・下河原線）となりました。

当初は国分寺駅構内側線として扱われていましたが、東京競馬場へのアクセス向上のために、国分寺駅から東京競馬場前駅間が旅客支線として開業。その中間駅として、北府中駅の前身となる富士見仮信号場が1934年に設置されました。

第二次世界大戦中は、東芝府中事業所（当時、軍需工場）の従業員輸送のため、仮乗降場として客扱い開始。戦後も仮乗降場、信号場を経て、正式な駅として再開業しました。その後、武蔵野線開業に伴い下河原線の旅客営業が廃止され、貨物線は武蔵野線に編入。北府中駅も武蔵野線の駅として現在に至っています。なお、下河原緑道（下河原線跡の遊歩道）の歴史説明板には「東芝前」と記載されていますが、駅名が正式に「東芝前」だったという記録はありません。

年表：変遷を時系列で辿る

1910年: 東京砂利鉄道専用鉄道開業（国分寺～下河原）
1920年: 鉄道省が東京砂利鉄道を買収、中央本線貨物支線化
1921年: 営業廃止、国分寺駅構内側線扱い
1934年: 中央本線支線（下河原線）開業、富士見仮信号場開設
1944年: 下河原線営業休止、東芝府中事業所従業員輸送開始
1947年: 下河原線営業再開
1949年: 富士見仮乗降場開業
1952年: 北府中信号場となる、当駅～下河原間の貨物支線開業
1956年: 北府中駅開業、中央本線所属、貨物営業開始
1973年: 武蔵野線開業に伴い下河原線廃止、北府中駅は武蔵野線に編入
1976年: 下河原への貨物支線廃止
1982年: 貨物取扱廃止
1987年: JR東日本発足
1994年: 自動改札機設置
2001年: Suica利用開始
2009年: みどりの窓口営業終了
* 2022年: 駅ナカシェアオフィス開設

駅構造と周辺環境

北府中駅は、島式ホーム1面2線の地上駅です。府中街道に並行して設置された歩道橋と、東芝府中事業所への連絡通路が一体となった橋上駅舎が特徴的です。東芝府中事業所への連絡口は、2014年から一般客も通行可能になりました（初電～終電）。

立川統括センター管理の業務委託駅で、JR東日本ステーションサービスが運営。多機能券売機、指定席券売機、自動改札機、エスカレーター、エレベーター、多機能トイレなどを完備。ステーションカラーは深緑色です。

駅周辺には、府中刑務所、国際連合アジア犯罪防止研修所、法務省矯正研修所、府中インテリジェントパーク（大型オフィス街）、府中中央公園、府中市民球場などがあります。また、「東芝前（北府中駅前）」停留所からは京王バスが運行されています。

専用線と貨物輸送

駅西側には複数の側線が残り、保線工事の資材置き場や、東芝府中事業所への連絡線として使用されています。かつては、試運転や搬出のために電気機関車などが留置されていました。また、過去には府中刑務所への専用線も存在しましたが、現在は撤去されています。

利用状況と将来

2023年度の1日平均乗車人員は約12,517人で、武蔵野線内では中規模の駅です。近年は増加傾向にあり、周辺地域の開発と人口増加を反映していると言えるでしょう。今後、さらなる発展が期待されます。

まとめ

北府中駅は、長い歴史と周辺地域との深い繋がりを持つ駅です。鉄道の歴史的価値と、現代の生活空間としての機能を両立させていると言えるでしょう。今後も地域の拠点として、発展を続けていくことが期待されます。

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