北庭大都護府

北庭大都護府（ほくていだいとごふ）

北庭大都護府は、7世紀から8世紀にかけて中国の唐王朝が、現在の新疆ウイグル自治区昌吉回族自治州に設置した行政機関です。唐は広大な西域を支配するために、各地に都護府を設置しました。

北庭大都護府の成立

702年、武則天は西域の統治を強化するため、天山山脈以北の地域を管轄する北庭都護府を設置しました。これは、それまで安西都護府が管轄していた地域の一部を分割したものです。709年には、北庭都護府は大都護府に昇格し、安西大都護府と同等の地位となり、天山山脈を境に南北の地域を分担して統治することになりました。

北庭大都護府の管轄地域

北庭大都護府の管轄範囲は非常に広く、東は伊吾（現在のハミ市）、西は咸海（アラル海）一帯にまで及びました。北は額爾斉斯河（エルティシ川）、南は天山山脈までを包括し、その広大な領域は東西文化の交流拠点としての役割を担いました。府治は庭州（現在のジムサル県北庭鎮）に置かれました。

唐朝の西域統治

唐王朝は西域において、漢民族が居住する地域には中原と同様の均田制、租庸調制、府兵制を施行しました。一方、それ以外の地域には、各民族の伝統や習慣を尊重した行政制度を採用し、その首長には唐風の官職名を与えて羈縻州を構成しました。この二元的な統治制度によって、唐は広大な西域を安定的に支配しようとしました。

北庭大都護府の最盛期

北庭大都護府の最盛期には、下部に金満県、輪台県、蒲類県の3県、瀚海軍、天山軍、伊吾軍の3軍が置かれました。さらに、塩泊州、塩禄州、陰山州、大漠州など16の羈縻州を管轄し、突騎施、堅昆、突厥などの多民族を統治していました。これらの羈縻州は、唐王朝の支配下でありながらも、各民族の自治が認められていました。

北庭大都護府の終焉

790年、吐蕃が庭州を攻略した際に、北庭大都護府も廃止されました。その後、元朝時代に一時的に北庭都護府の名が復活しましたが、これもすぐに廃止されました。

現在の北庭大都護府遺跡

現在、北庭大都護府の遺跡は、中国の全国重点文物保護単位に指定されています。この遺跡は、かつてこの地が東西文化の交流拠点として栄えた歴史を今に伝えています。

北庭大都護府は、唐代の西域経営において重要な役割を果たした行政機関であり、その歴史は現代にも多くのことを教えてくれます。

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