北条光時

北条光時：鎌倉時代を生きた名越流北条氏の祖

北条光時（ほうじょう みつとき）は、鎌倉時代前期に活躍した武将であり、北条氏の一門、特に名越流北条氏の祖である北条朝時の嫡男として知られています。彼はまた、名越光時（なごえ みつとき）とも呼ばれていました。

生涯：陰謀と失脚、そして配流

光時の生涯は、寛元4年（1246年）に大きな転換期を迎えます。第4代執権であった北条経時が若くして亡くなると、光時は前将軍であった藤原頼経と共謀し、新たな執権である北条時頼を廃そうと企てました。この企ては「宮騒動」として歴史に記録されています。

『保暦間記』によれば、光時は時頼が執権に就任することに強く反発し、「自分は北条義時の孫であり、時頼は曾孫に過ぎない」と主張したと伝えられています。しかし、頼経派は最終的に敗北し、光時は将軍御所にいた際に陰謀が露見したことを悟ります。彼は自邸に戻ることなく出家し、弟たちと共に時頼に降伏の意を示すために髻を送りました。その結果、光時は所領を没収され、伊豆国江間郷へと配流されることとなりました。

配流後の活動と文化的な側面

配流後も、光時はただ静かに過ごしていたわけではありません。弘長2年（1262年）には、叡尊から鎌倉において菩薩戒を授けられています。また、金沢文庫に所蔵されている『斉民要術』の紙背文書には、越訴奉行を務めていた北条実時に宛てた光時の書状が残されており、配流後も何らかの活動を続けていたことが窺えます。

子孫と名越流の衰退

光時の子孫は、名越流の嫡流からは外れ、江間氏を称するようになりました。得宗家と名越家の対立はその後も続き、光時の弟である教時が二月騒動と呼ばれる事件で再び謀反を起こし、北条時宗によって討伐されるという悲劇も起こりました。これにより、名越流北条氏は衰退の一途を辿ることとなります。

関連人物・項目

名越流北条氏: 光時を祖とする北条氏の一流。
宮騒動: 北条光時が関与したとされる、北条時頼に対する陰謀事件。
三浦光村: 光時が元服する際に烏帽子親となり、「光」の字を与えたとされる人物。
四条頼基: 光時の家臣。

北条光時は、鎌倉時代という激動の時代に翻弄されながらも、その存在感を示した人物でした。彼の生涯は、北条氏一門の内部抗争や、当時の政治情勢を色濃く反映しており、鎌倉時代の歴史を理解する上で重要な要素の一つとなっています。

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