北海道道1086号増毛当別線

北海道道1086号増毛当別線：幻の道道

北海道道1086号増毛当別線は、増毛町から北竜町、雨竜町、新十津川町を経由し当別町を結ぶ計画であった一般道道です。しかし、全線未開通のまま建設は中止され、「幻の道道」として知られています。

概要

起点: 北海道増毛郡増毛町御料（北海道道94号増毛稲田線交点）
終点: 北海道石狩郡当別町青山奥四番川（国道451号交点）
総延長: 0.0km（計画延長29.6km）

増毛町と雨竜郡北竜町の境界付近を起点とし、増毛山地の東側を縦断するルートが計画されていました。終点は当別町と樺戸郡新十津川町の境界付近です。特に「暑寒道路」とも呼ばれる前半部分は、暑寒別天売焼尻国定公園の区域内を通り、雨竜郡雨竜町国領では道道暑寒別雨竜停車場線と接続する予定でした。

道路は幅8m（車線幅5.5m）の2車線道路として設計され、曲線半径は100m以上を確保。冬季の通行を考慮した除雪も計画されていました。構造物としては、恵岱別大橋（全長333m）を含む12の橋梁と、徳富トンネル（延長2,294m）を含む4本のトンネルが計画されていました。

建設目的

増毛当別線の建設には、主に以下の目的がありました。

雨竜沼湿原をはじめとする暑寒別天売焼尻国定公園へのアクセス向上
増毛町の水産物・農産物の新たな輸送ルートの確保（道道当別浜益港線経由で札幌方面へ）
災害時における国道231号の代替ルートの確保（従来の道道94号または国道233号から国道275号、国道451号を経由するルートの短縮）

建設の経緯と中止

1987年（昭和62年）から沿線自治体からの要望を受け、1988年度（昭和63年度）に開発道路に指定、1989年（平成元年）1月12日に道道として認定されました。1993年度（平成5年度）には環境影響評価が実施され、自然保護団体からの意見もあったものの、特に問題はないとの答申を受け、1994年度（平成6年度）から用地買収、1995年（平成7年）には増毛側から着工しました。

しかし、1997年（平成9年）、予定ルート付近でクマゲラの生息が確認されたため、調査と環境保全対策が必要となり工事は休止。その後、公共事業見直しの対象となり、北海道開発局事業審議委員会による審議の結果、2004年（平成16年）3月30日に国土交通省から建設中止が発表されました。

中止の理由としては、以下の点が挙げられます。

完成までに300億円を超える事業費が見込まれ、費用対効果が低い
事業進捗率が3%にとどまり、工事の長期化が予想される（工事再開後も全線開通は2020年代と見込まれる）。要因として、全線が地すべり地帯であること、積雪による冬季工事の中断、工事用道路がないことなどが挙げられる
1.5車線への縮小では、建設目的の効果が十分に発揮されない
国道231号の整備や深川留萌自動車道の建設が進み、周辺ルートの利便性が向上した

現在の状況

北海道建設部道路整備課監修の「北海道道路図」（2004年12月現在）からは増毛当別線が削除されており、事実上、廃止に近い状態です。建設中止の決定が覆る可能性は低いと考えられ、沿線自治体からの要望も2002年度（平成14年度）以降は途絶えています。部分開通もしていないため、まさに「幻の道道」となりました。現在、道道増毛稲田線からは、恵岱別大橋の橋台と橋脚の一部を望むことができます（2005年時点）。

歴史

1989年（平成元年）1月12日 - 路線認定

参考資料

『一般道道 増毛当別線 平成16年3月』 [北海道]]開発局（[北海道開発局道路IRサイトより）

関連項目

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