北海道道718号忠別清水線

北海道道718号忠別清水線：幻の大雪縦貫道

北海道道718号忠別清水線は、上川郡美瑛町から上川郡清水町を結ぶ総延長77.948kmの一般道道です。しかし、その道のりは決して平坦ではありません。未開通区間が大部分を占め、幻の縦貫道としてその名を知られています。

概要

この道道は、起点である美瑛町字忠別から、終点の清水町字御影（国道38号交点）までを結ぶ計画でした。しかし、実際に供用されている区間は71.443kmにとどまり、64.19kmが未供用区間となっています。道路管理者も、上川総合振興局旭川建設管理部事業課と十勝総合振興局帯広建設管理部鹿追出張所の二手に分かれています。

歴史：大雪縦貫道の夢、そして挫折

この道道の計画は、元々「大雪縦貫道」として、大雪山を縦貫する壮大なものでした。1955年には、美瑛町、東川町、新得町の間でその要望が持ち上がり、1958年には「天人峡－新得間大雪縦貫道路建設期成会」が発足するなど、地元住民の期待も高まっていました。

1971年には路線認定がなされ、一部が開発道路の指定を受けましたが、その道のりは決して順風満帆ではありませんでした。自然保護運動の高まりを受け、1971年までに計画中止が決定。その後、国立公園の特別保護地区をトンネルで抜けるルート変更案も提示されましたが、1973年に北海道開発庁が計画を断念し、トムラウシ温泉 - 美瑛町側の工事が凍結され、現在に至っています。

2005年には、開発道路の指定も廃止され、幻の縦貫道としての色彩をより一層強めています。

路線状況：登山道としての利用と未舗装路

現在、この道道はトムラウシ山への登山に利用されています。終点側では、夏には大型バスや路線バスも通行しますが、起点側やトムラウシ川に架かる曙橋よりも起点側では、1.5車線路や未舗装路が多く残っています。そのため、通行には注意が必要です。

未供用区間と道路施設

未供用区間は、上川郡美瑛町字俵真布 - 新得町字トムラウシ間に存在します。この区間には、トムラウシ第二トンネル（775m）、トムラウシ第一トンネル（466.6m）といったトンネルや、大雪橋（70m）、白雲橋（91m）、柏葉橋（241m）など多くの橋梁が建設されています。

その他にも、湖水橋（74m）、緑風橋（181m）、東大雪橋（452m）、紫水橋（93m）、ペンケニコロベツ橋（68m）、南岩松橋（64m）、佐幌橋（122m）といった橋梁が存在します。

また、美瑛町字俵真布には俵真布ゲートが設置されています。

地理：辺別川とトムラウシ自然休養林

起点側の開通区間は、辺別川に架かる美瑛町道朗根内上俵真布線の上俵真布橋を渡った先付近から始まります。川の右岸を上流へしばらく進んだ後、橋を渡って左岸を進み終了となります。付近は大雪山国立公園の普通地域との境界となり、上俵真布林道のゲートがあります。

終点側はトムラウシ自然休養林野営場付近から始まり、ユウトムラウシ川、十勝川沿いを終点まで進みます。

通過する自治体と交差する道路

この道道は、以下の自治体を通過します。

上川総合振興局
上川郡美瑛町
十勝総合振興局
上川郡新得町
上川郡清水町

また、以下の道路と交差します。

新得町
北海道道75号帯広新得線 - 字屈足
北海道道593号屈足鹿追線 - 字屈足
清水町
国道274号 - 字人舞
道東自動車道 - 字羽帯（接続はしない）
国道38号 - 字御影（終点）

沿線施設

沿線には、以下の施設などがあります。

新得町
トムラウシ温泉
上岩松ダム
十勝ダム
岩松ダム
新得町立富村牛小中学校
新得町立屈足中学校
新得町立屈足南小学校
屈足郵便局
清水町
* 清水町立御影中学校

その他

渡辺淳一が『峰の記憶』の題材として取り上げたことでも知られています。

北海道道718号忠別清水線は、大雪山の雄大な自然と、開発の波に翻弄された歴史が交錯する道道です。未開通区間の将来は不透明ですが、その存在は、北海道の自然と開発のあり方を考える上で、重要な意味を持っています。

もう一度検索