北見峠

北見峠

北見峠は、北海道上川郡上川町字上越と紋別郡遠軽町奥白滝の境界に位置する、標高857mの峠です。国道333号がこの峠を越えており、道内における交通の要衝となっています。

概要

北見峠は、急カーブが連続する道として知られ、交通の難所となっています。遠軽側の上り車線には登坂車線が設けられていますが、これは峠道の厳しさを物語っています。しかしその一方で、原生林の中を縫うように走る道からは、好天時には雄大な景色を望むことができ、多くの人々を魅了しています。

JR北海道の石北本線と旭川紋別自動車道（国道450号）も峠の近くを通っていますが、それぞれ石北トンネル、北大雪トンネルという全長4kmを超える長大なトンネルによって峠の直下を通過しています。

歴史

北見峠の歴史は、明治時代初期の北海道開拓に深く関わっています。1891年（明治24年）、北方の防備と開拓を目的として、網走から北見峠までの162.6kmに及ぶ道路が「中央道路」として開削されました。この工事は、明治政府の命により、空知集治監や釧路集治監の別館として設置された網走監獄（網走刑務所）の囚人たちによって行われました。

約1,100人の囚人と約200人の職員が動員され、わずか8ヶ月という短期間で約160kmの道路を完成させるという、まさに突貫工事でした。過酷な労働条件のため、200名を超える犠牲者が出たことから、この道は「囚人道路」とも呼ばれています。中央道路の沿線には、犠牲者を弔うための慰霊碑が各地に建立されており、峠の頂上にあるパーキングエリアにも、1974年（昭和49年）に当時の白滝村村長によって建立された慰霊碑が建てられています。

道路開通後には、沿線に駅逓所が開設され、1897年（明治30年）と1898年（明治31年）には屯田兵が中央道路を経由して北見地域に入植しました。これは、北見地域の発展に大きく貢献しました。

1952年（昭和27年）には国道39号に指定されましたが、石北峠の開通に伴い、1957年（昭和32年）に道道遠軽上川線に降格しました。その後、1968年（昭和43年）に線形改良が行われ、1975年（昭和50年）に再び国道333号に昇格しました。

近年では、積雪のある冬期間に、峠付近の路側帯からスノーモービルで山中に乗り入れる人が増加していますが、峠周辺の国有林を管理する北海道森林管理局は、スノーモービルの乗り入れを認めていません。

石北トンネル

石北トンネルは、北見峠の直下を通過するJR北海道石北本線のトンネルです。全長は4,329mで、1932年（昭和7年）に鉄道省石北線時代に、このトンネルを含む石北線の中越駅（現在の中越信号場）- 白滝駅間が開業しました。

北大雪トンネル

北大雪トンネルは、北見峠の直下を通過する旭川紋別自動車道のトンネルです。全長は4,098m。2002年（平成14年）に旭川紋別自動車道初の供用区間として浮島IC - 白滝IC間（上越白滝道路）が開通しました。峠を通過する北大雪トンネルは、冬場の吹雪による視界不良などの厳しい気候条件に対応するため、視線誘導施設や監視カメラの設置間隔を短縮するなど、管理体制の強化が図られています。トンネル内では携帯電話サービスの利用が可能です。

北見峠が登場する作品

安部譲二『囚人道路』講談社、1993年

脚注

注釈

出典

関連項目

日本の峠一覧
北海道の峠一覧

外部リンク

北の道ナビ 峠情報
北海道地区 道路情報
北海道開発局 旭川開発建設部
* 北海道開発局 網走開発建設部

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