北郷久秀

北郷久秀（ほんごう ひさひで）

北郷久秀は、室町時代前期に日向国（現在の宮崎県）で活躍した武将であり、北郷氏の3代目当主です。2代目当主である北郷義久の三男として生まれました。

兄2人が出家したため、久秀が家督を継ぐことになりました。当時、室町幕府の九州探題であった今川了俊が、少弐冬資を謀殺した事件（水島の変）が起こり、了俊は島津氏討伐のため、子の満範や貞兼を日向に派遣しました。これに対し、島津氏は今川氏と対立し、両者の間で激しい戦いが繰り広げられました。

梶山城の戦い

明徳5年（1394年）、久秀の外祖父である和田正覚と高木氏が守る、島津方の三股（現在の宮崎県北諸県郡三股町）にある梶山城を、今川氏側の相良氏、伊東氏、土持氏、北原氏などが攻めました。島津氏と北郷氏は、この梶山城を救援するために駆けつけましたが、久秀は弟の忠道とともに討ち死にしてしまいました。その結果、梶山城は落城しました。

久秀の父である義久は、子の死を悼み、都城に薦福寺を建立して2人の菩提を弔いました。北郷氏の家督は、久秀のもう一人の弟である知久が継承しました。

墓と腰掛石

忠通の法名は聖安道賢大禅定門といいます。久秀と忠道の墓は、現在も三股町の大昌寺跡に残っており、町の文化財に指定されています。また、墓の傍らには、久秀が最期を迎える際に腰を掛けたと伝えられる「腰掛石」が保存されており、その場所を訪れる人々に、当時の様子を伝えています。

まとめ

北郷久秀は、室町時代初期の動乱期に、若くして戦場に散った武将です。わずかな期間しか当主を務めることはできませんでしたが、その勇猛果敢な戦いぶりは、後世にまで語り継がれています。特に、梶山城の戦いでの壮絶な最期は、今もなお多くの人々の心を揺さぶる出来事として知られています。


参考文献

『都城市史』
『高城町史』
瀬戸山計佐儀『都城島津家歴代史　全』三州文化社、1992年。
南九州文化研究会 編『都城盆地 史跡ガイドブック ①旧都城市編』2014年。

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