梶山城

梶山城（かじやまじょう）

宮崎県北諸県郡三股町に位置する梶山城は、標高約240mの台地上に築かれた山城です。この城は、地元では「庄内十二外城」の一つとして知られています。

概要

伝承によれば、正平7年（1352年）に樺山資久によって築城されたとされています。約260年間、南九州の覇権を巡る争いの中で重要な拠点として機能し、元和元年（1615年）に廃城となりました。梶山城は、その立地から要害の地として、戦国時代の歴史に深く関わってきました。

歴史

築城については、樺山氏初代の樺山資久によるものと伝えられていますが、詳細は不明です。1375年の水島の変に端を発する島津氏と今川氏の争いの中で、1394年には北郷義久が和田正覚と高木氏を梶山城に配置しました。これに対し、今川貞世の四男である尾崎貞兼や、今川方についた相良氏、伊東氏、土持氏、北原氏らが攻め寄せました。

島津氏と北郷義久は救援として、北郷義久の三男・北郷久秀と四男・北郷忠通を派遣しましたが、両名とも討死し、梶山城は落城しました。久秀と忠通の墓は、現在も三股町の大昌寺跡に存在し、町指定の文化財（史跡）となっています。また、墓の傍には久秀が最期に腰掛けたとされる腰掛石も残されています。

1441年以降、梶山城は豊州家島津氏の支配下に入り、伊東氏との間で激しい争奪戦が繰り広げられました。1495年の和議により、三俣院一千町歩が伊東氏に明け渡されたことで、高城、野々美谷城、山之口城とともに伊東氏の所領となりました。しかし、『日向記』には、1504年まで梶山城は伊東氏の支配下にはなかったとする記述もあります。1530年頃には、山之口城、高城、勝岡城などと共に、庄内三俣の八外城の一つとされていました。

その後、北郷忠相は三俣院奪還のため伊東氏と戦い、1532年には島津忠朝・北原久兼と密約を結び、三軍で伊東氏領の高城を攻撃し、伊東軍を破りました。この勝利と伊東氏の内紛により、伊東氏は三俣院の維持が困難となり、1534年に北郷忠相は梶山城を確保しました。

豊臣秀吉による九州征伐後、1594年の検地で、北郷氏は祁答院へ移され、梶山城は伊集院氏の所領となりました。1599年に発生した庄内の乱では、伊集院忠真の都之城を本城とする「庄内十二外城」の一つとして、梶山城には野邊彦一らが籠城しましたが、翌1600年に降伏開城しました。乱後、忠真は頴娃へ移され、都城には旧領主の北郷氏が復帰し、乱は終結しました。1615年、一国一城令により梶山城は廃城となりました。

遺構

梶山城は、独立性の高い4つの曲輪から構成されており、『庄内地理誌』の絵図とも合致します。曲輪には、「内城」「二の丸」「中の丸（仮屋城）」「杖房」という名称が付けられています。現存する遺構としては、大手口、虎口、大土塁、大横堀、堀切、そして四重の横堀があります。

特に四重の横堀は、中世城郭研究家の八巻孝夫氏によって、全国屈指の遺構として評価されています。この横堀は階段状に連なっており、庄内合戦の際に築かれた鉄砲射撃のための立体的な塹壕と考えられています。

まとめ

梶山城は、その歴史と遺構から、南九州の戦国時代を語る上で重要な城の一つと言えるでしょう。特に、四重の横堀は、中世の城郭技術の高さを物語る貴重な遺構です。

参考文献

山本盛秀編『三国名勝図会』1905年
『宮崎県の地名』平凡社、1993年
『都道府県別日本の中世城館調査報告書集成 第20巻 九州地方の中世城館 1 熊本・宮崎』東洋書林、2002年
『ふるさとみまた』20号
八巻孝夫「梶山城と庄内合戦」『中世城郭研究』第19号、2005年
『広報みまた』平成24年10月1日号、三股町役場、2012年
三股町都市整備課「文化財一覧」『三股町景観まちづくり計画 資料編』2020年

関連項目

北郷久秀
北郷忠相
庄内の乱
勝岡城

外部リンク

三股町公式HP 文化振興・文化財

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